会社は存続年数の長短に問わず「倒産」というリスクが伴っている。これは紛れもない事実である。その証拠として日本最古の企業である「金剛組」を例に挙げると創業当時からずっと金剛一族が経営してきたが高度経済成長から続く熾烈な建設競争のあおりを受け経営危機に陥り、2005年に金剛一族の経営から、郄松コンストラクショングループの傘下として企業は存続されている。「倒産」する危険性があることは100年以上続いている企業でさえも例外では無いのである。
経営にはリスクはつきものであるが、本書はその「倒産リスク」をいかに分散することができるのか、という術を紹介している。
第一章「大企業も倒産する時代」
最初にも書いたとおり100年以上続いている老舗企業でも倒産のリスクは免れない。日本や世界のトップ企業もまた同じである。2008年秋の「リーマン・ブラザーズ」の経営破綻がその確固たる証拠である。
多額の負債を抱えての倒産は今も昔も多いのだが、会計上、珍しい「黒字倒産」も2008年にアーバン・コーポレーションで起こっている。
無借金経営であるとはいっても資金繰りが苦難であることには変わりはない。経営トップはあらゆる方向を見渡しながら決断を起こさなければならないが、「リスク」のおそれをなして決断できない、動けないといった後ろ向きの経営ばかりとなり、世界からも取り残される有様である。
第二章「会社をつぶさないために」
「現状維持では衰退する」
ウォルト・ディズニーの名言であるが本章もそれと同じようなことを言っている。
市場も絶えず成長や変化をしていく。企業もそれに応じた変化をするべきであるが、会社として、そして経営者としての「原点」を常に見据えていく必要がある。それを無くいてしまうと、糸の切れた凧の如く、無限の可能性に猛進して、取り返しのつかないことに陥ってしまう。
第三章「会社経営にはツボがある」
「これをやれば必ず経営はうまくいく」
仕事も同じであるが、この言葉ほど信用できないものはない。とはいえど経営に関してある程度抑えておくべき「ツボ」というのがあるそうだ。
付加価値や現物資産(会計上では「現金・預金」)が大事であり、カリスマ経営にどっぷりと頼らない経営姿勢が必要であると著者は主張している。
第四章「チーム力を改善せよ」
組織もまた市場と同じく絶えず変化を求められているものの、人材を含めてそうは変わらない。組織には相互の依存関係があり、一つでも変化を起こすとなると、多大なるコストやリスクが生じる。そのことによって組織そのものが崩壊に導く例も少なくない。
第五章「金融知識の欠如が死を招く」
昨年の1月に世界的に有名な経営コンサルタントの大前研一氏が「マネー力」を出版された。この本が出版された減少として日本人個人の資産運用からお金の使い方に至るまでの「マネー力」の減少を嘆いて出版されたのだろう。
しかし個人だけではなく、企業としてもそういった力は落ちていると著者は指摘している。
最初にも書いたとおり、倒産リスクはどこの企業にも存在する。そのリスクを受け止めつつ後ろ向きにならず、原点を鑑みつつ、成長を続けていくこと、それがすべてとは言えないが、本書を読んで最低限経営としてやるべき事はそこにあるのではないかと思った。
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