ワースト・インプレッション~刑事・理恩と拾得の事件簿

本書のタイトルを直訳すると「最悪の印象」と言う。刑事の2人は上司・部下の関係でありながら、お互いの印象を「最悪」と言ってはばからないほどである。その2人の刑事が遭遇する事件の中で出てくる「デコボコ」ぶりはコミカルさが出ているのかというと、むしろそうでは無く、お互いの本章が丸出しになるような「最悪」の部分が露呈しながらも、事件を解決していくという、ミステリー作品にしてはけっこう軽い感じで描かれているのが魅力的である。

本書は全部で4つの事件に分けられており、それぞれの事件で2人のやりとりが軽い感じである。しかし軽い感じでありながらも、ミステリーらしさも引き出されており、なおかつ、引き込まれる魅力を感じた。しかも本書の終わり方も謎めいており、続編があるような描写を見せているため、続編が出るのかという感じも否めない。