ダンゴムシに心はあるのか 新しい心の科学

まだまだ雨で寒い日々が続くが桜も咲き、所によっては散り始めており、本格的に春と言えるシーズンである。桜が完全に散ってからはいよいよ暑さも本格化し、私の嫌いな虫も出てくる頃である。さて、虫除け対策はどうしようか考え物である。

それはさておき、虫が出てくるシーズンだからでこそ、虫にまつわる本をちょっと取り上げたいと思う。その一つとして「ダンゴムシ」である。ダンゴムシはワラジムシ科の生物であり、身を守るために身を丸く転がるようにする。その丸く転がる姿がダンゴのそれと似ていることからダンゴムシと呼ばれる。そのダンゴムシに「心」は存在するのか、という科学の観点から考察を行っているのが本書である。

第一章「心とは何か―「心の定義」を提案する」
そもそも科学的見地から「心」とはいったい何なのか、心理学や哲学などで表すと、感情であったり、私自身そのものであったりと語られるのだが、本章ではあくまで「科学」を基軸に置いている。では「科学」における「心」とは何か、それは単純に「脳の一機能」や「脳の一部分」である。脳による信号によって神経が働くことから、脳というコントローラーによって、心の動きが変わってくるということから、そう定義づけられている。

第二章「ダンゴムシの実験」
科学的に「心」が「脳の働きの一部」であるとするならば、「ダンゴムシに脳波存在するのか?」という疑問がわいてくる。本章ではどの脳があるのかを、行動傾向の実験にて解き明かしている。その行動実験も様々なルートをダンゴムシに歩かせるというような実験でパターンも多い。

第三章「ダンゴムシ実験の動物行動学的意味」
第二章にて行われた実験は科学の中でも生物学、さらに生物学の中でも「動物行動学」と呼ばれる学問の実験であり、行動の中でどのような「心」に作用をもたらすかという実験を行ったものである。本章ではその意味について取り上げている。

第四章「「心の科学」の新展開」
本書はダンゴムシの行動を用いてそれが「心」とどのように関係しているのかを取り上げたのだが、まだまだ他の生物でも取り上げる必要があること、そのことによって心と行動が生物の行動にとってどのようにして関連づけられていくのか、その新展開が見込まれるという。その展望について本章にて取り上げている。

科学における「行動」がいかにして「心」に関わっていくのか、それにはまだ時間が掛かるのかも知れないのだが、「ダンゴムシ」という、ごくありふれた虫による実験はその突破口の一つと言えるのかも知れない。その行動は脳におけるものではなく「知能」として扱われるものだという。

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