本書のタイトルからしておぞましさが全開である。もっとも登場人物も外面は「観音様」のごとく人間離れした美しさを持っていた。しかしその内面は、人倫を完全に踏み外した行為を行うと言うものである。
もちろんその行為自体もタイトル負けどころか、それ以上のおぞましさがあり、見ているだけでも、怖さがあった。ホラーの要素があるのだが、あまりのおぞましさがそのホラーを引き出しているように思えてならなかった。
そう思わざるを得ないほどの猟奇的なシーンがあり、エログロがこれでもかと言わんばかりに出てきている。映像化はまず不可能と言えるのだが、それを引き立たせる作品は古典でもいくつか読んだことがあり、その感覚を思い出してしまう。それでいながら叙情的に描いているだけあり、ある種の美しさもあった。
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