自衛隊の転機 政治と軍事の矛盾を問う

日本国憲法では戦争放棄の条項があるのだが、あくまで交戦権の放棄だけであり、守るための部隊を設けろという規定はない。もっともGHQも日本国憲法の制定を指定したかと思いきや朝鮮戦争をきっかけとして警察予備隊(後の保安隊、自衛隊)の創設を指示した。

それから約70年の月日が流れたのだが、現在自衛隊はある「転機」を迎えている。安保法もあるのだが、それ以上に自衛隊自体、仕事にしてもあり方にしても様々な変化を起こるようになった。その変化による矛盾と問題、そして平和に関する考え方について取り上げているのが本書である。

第一章「自衛隊を取り巻く矛盾」
自衛隊は社会状況とともにさらされる。もっとも「社会」と言っても国内事情にのみならず、海外の状況によって派遣といった観点からさらされる部分がある。しかしそのたびに憲法と自衛隊の「矛盾」について国会で議論があり、メディアでも幾度となく話題となる。

第二章「鼎談・前線からの問題提起」
本書は著者と元自衛隊幹部、元国連幹部との鼎談を行いながら、自衛隊そのものの問題点を軍事・政治両方の観点から掘り起こしている。

第三章「いまこそ自衛隊から平和を問い直す」
自衛隊がもたらす「平和」とはいったい何なのか、そのことを取り上げる中で平和に関するリスクマネジメントなどを取り上げている。

自衛隊はなくてはならない存在であるのだが、そのあり方は刻々と変化しているのは紛れもない事実である。しかしその変化によって自衛隊、そして国全体でどのような影響を与えるのか、それは変化によって異なるのだが、そのことが見える基準として本書があるのかもしれない。