三人孫市

戦国時代には様々な人物が交錯している。その多くは武将であるのだが、本書のように「衆」と呼ばれる集団もある。本書では紀伊国(現在の和歌山県と三重県南部)で「雑賀衆(さいかしゅう)」と呼ばれる集団である。その頭目にあたるのが「雑賀党鈴木氏」であり、その中心的人物であるのが鈴木佐大夫(すずきさだゆう)である。

その佐大夫には主要な三人の息子がいた。その息子三人が本書の中心にあたる。三人の息子にはそれぞれ銃をもらい、敵である信長を翻弄し激怒させ、それが引き金となり信長の腹心であった秀吉(当時は「羽柴秀吉」)が紀州征伐を行うようになった起因となった。

雑賀衆の三兄弟はなぜ活躍をしたのかを取り上げているのだが、その息子三兄弟は度々「鈴木孫一」なり「鈴木孫市」、もしくは「雑賀孫市」と呼ばれるようになった。本書のタイトルにあたる部分がその俗称にあたる。しかし雑賀衆がなぜ活躍をし、どのような結末を迎えたのか、創作であるのだが、歴史の影に潜む面白さを垣間見た一冊である。

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