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時代

戦百景 長篠の戦い

天正3年5月21日、三河国長篠城を巡っての戦いである「長篠の戦い」が始まった。単純に結果だけを書くと織田・徳川連合軍が、武田軍を圧勝だった。しかしその開戦から、戦いまでの道のりは織田・徳川・武田それぞれの思惑が張り巡らされるものだった。 この長篠の戦いにて、織田軍は「鉄砲」を使い、騎馬に長けていた武田軍を打ち破ったのだが、それぞれの将軍がなぜ長篠の戦いにて、騎馬・鉄砲の戦いを行ったのか、また徳川と […]

阿修羅草紙

本書の表紙を見るからに「阿修羅」の雰囲気を見せている。その表情、さらにはタイトルにあるように、忍びにいるとある少女が、奪われた巻物を取り戻すために戦いに投じていくという物語である。 戦国時代のイメージを持ってしまうのだが、細川勝元や山名宗全がいる時代であるため、室町時代の中期にあたり、ちょうど応仁の乱における戦いにあたる。しかし本書は応仁の乱自体を舞台としておらず、その裏で忍びたちとの死闘を描いて […]

贄の花嫁 優しい契約結婚

明治維新において海外の文化が多数取り入れられ、独自の和洋折衷の文化を創り上げた。特に大正時代において文化・芸術を含めその風潮が強く、現在でも語り継がれる「大正ロマン(大正浪漫)」がある。もっともこの時代を背景にした作品は小説・マンガ・アニメ問わず数多くある。 本書も例外なく大正ロマンの時代を舞台にしている。この時代は政略結婚をはじめ、恋愛といったものではなく、むしろお見合いや、許嫁といった要素が強 […]

男の愛 たびだちの詩

どうもタイトルを見ると、ある特殊な嗜好を持つ女性たちが群がるような表現になっているのだが、もちろんソッチの傾向はあるにしても、よく「男に男が惚れる」と言う言葉がある。正確に言うと鶴田浩二や東海林太郎で有名な「名月赤城山」にある一節にあるものであり、なおかつ「男心に~」となっている。 それがいつしか「男に~」となったのかもしれない。もっともこの「名月赤城山」の赤城山に縁のある人物として、一人は国定忠 […]

戦神の裔

本書は平安時代末期における源平の戦いの一部を描いている。主人公は九郎義経、後の源義経である。その義経は幼少の頃に平氏により、家族と自由を奪われた身となる。奪われたことに憤りを覚えながらも兵を持っていなかったことによる無力感を覚えながら、次第に武蔵坊弁慶をはじめとした仲間をつくっていき、挙兵し、平氏を討つという物語である。 よくある義経となると伝説で語られる高潔なイメージが持たれるのだが、本書は少し […]

さんばん侍 利と仁

昨今では新型コロナウイルスにより企業の倒産や破綻、あるいはそれの危機に瀕する状況に陥るケースが頻発している。特にその危機から脱するために「再建」を行うことも少なくない。 所変わって本書はその「企業再建」を江戸時代において行ったという移植の一冊である。元々は町人で、親族も亡くなり、孤独の身になったが、藩の江戸屋敷に拾われ、養子となり、勘定方で働くようになったが、そこから幕府との「戦い」が起こり、巻き […]

お助け同心 尾形佐門次

江戸時代を描いた小説において、「同心」という名前を目にする。「同心」は江戸時代における役人の一つにあり、庶務や警備などを行う、あるいは軽犯罪を取り締まる警察の役割を担っていた。 同心は各藩におかれていたのだが、同心のあり方も多様であり、伊賀や甲賀では忍者を祖先とした同心がいる。また同心で有名な所では本書でも紹介される八丁堀の同心である。江戸時代初期に寺の多くが八丁堀から浅草に移動となり、その跡地に […]

この空のずっとずっと向こう

江戸時代における鎖国から開国し、幕府は倒れ、近代の幕開けとなる明治時代に入った頃、文明開化の折りに、100人を超える日本人が「使節団」としてアメリカへと渡っていった。 目的は人それぞれで、欧米の文化、美術、価値観を学び、日本の発展への材料とする者。あるいは単純に海外へ行きたいという者。海外で学び夢を叶えようとする者。人それぞれいる中で、本書は100人超の使節団のうち、5人いた女子留学生の一人を取り […]

鬼同心と不滅の剣 牙貸し

江戸時代における身分の一つに同心がある。現代で言う所の警察官であるが、その中でも町の奉行所の中で見回りや軽い犯罪の取り締まりを行う役割を担っている。最近でも見かけることがあるのだが、地元の警官がパトカーや自転車、あるいは白バイ、徒歩でパトロールをする役割と考えれば良い。 前置きが長くなったが、本書は江戸の大伝馬塩町(おおでんましおちょう、現在の東京都中央区日本橋本町四丁目)の長屋で賊に襲撃される事 […]

食いしんぼう同心 謎を食らわば皿まで

幕府における下級役人を総称して「同心(どうしん)」と呼んでいる。本書は奉行所で随一の切れ者と称される同心と、食に目がない、ある種水戸黄門に出てくるうっかり八兵衛のような同心見習いの2人が事件を解決するという一冊である。 方や同心は切れ者である一方で真面目さが性分であるが、もう片方は食べものに目がなく、ある種おちゃらけているように見えるが、事件などの解決になると、同心に引けを取らないほど真剣さを見せ […]