私の息子はサルだった

何か息子が間寛平や岡村隆史と言ったサル顔の人が生まれたのかと思ったのだが、息子はサルのように叫ぶような子どもだという。そのような子どもが学校の中では、むしろ疎まれ、なおかつ、廊下に立たされると言った扱いを受ける。

しかしその息子の抱える親はそのような環境の中で息子に対して、周囲に対してどのように思ったのかは本書にも記されているのだが、その息子が成長したとき、親としてどのようにして見ていったのかが綴られている。

フィクションではあるのだが、大筋は著者自身の体験を通じている。もっとも著者が逝去してからの作品で、なおかつ未発表原稿をそのまま一冊にしたためている。

何故そうなったのかというともっとも原稿は書いたものの、息子がそれを雑誌に上げたり、単行本にしたりすることを嫌がったためである。逝去してからしばらくし、息子が本書の原稿を読み直したとき、母親である著者から見た「自分」の姿を思い始め、息子が発表を許可した。もちろん本書のあとがきの所に息子自身がその心境を綴っている。母から見た子どもの姿、それを受け入れるかどうかは定かではない。しかしその姿はこう映っていると言うことを受け入れるのも息子のつとめなのかもしれない。