部下を好きになってください

本書は著者がIBMの執行役員自身であるがその方の自叙伝を交えながら部下の付き合い方について書かれている。

まず目についたのが第2章の部分。著者が小学校の時である。学校の先生に日本の国旗につて質問したところ答えてくれなかったというエピソードであるが、エジソンを思い浮かぶような感じである。エジソンは小さいころからいろいろなことに「なんで?」「どうして?」という質問をすることが非常に多かった。

小学校時代もそれが変わらず先生から親に「この子はバカです」と言われ、小学校を退学したという話もある。ずっと質問ばかりしたことが要因かどうかわからないがそれによって天才発明家としての人生を歩んだという。そう考えると物事の本質を見たいという好奇心こそが自分の成長する糧ではないだろうかと。

それによって著者がここまで昇進できた最大の要因ではなかろうか。そして昨今の日本の教育事情もそれがないように思える。まして「詰め込み教育」も良さはあるが「なぜ」という問いを自由に答えたり、討論においての交渉・ディベート力の欠如も招くという負の側面もある。「なぜ」という問いを持たせる、そしてこたえられるような教育があればいいと考えるが、それこそ寺脇研が文科省官僚時代に提唱した「ゆとり教育」の本質ではなかろうか。

第4章には決断力、そして度胸の強さを感じた。今の社会は女性登用が多いと言われている。そう考えると今の社会は男性だからといって優位になるわけでもなく、女性だからといって昇進できない。男性でも女性でも平等にチャンスがある。度胸、決断力、リーダーシップなど様々な要素が入り混じってはじめて頭角を現すことができる(「総合力」と言ってしまったらそれでおしまいだが…)。そして表題の「部下を好きになってください」が第5章で出てくる。

女性のキャリアアップでの指南書としては良書ではあるが、「部下を好きになってください」ということなので、部下とのコミュニケーションの話にもっとページを割いてほしかったように思えてならなかった。

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