健康格差 あなたの寿命は社会が決める

10数年前から「格差」にまつわる議論が出てきているのだが、健康でも「格差」がでているのだという。もっともどこに「格差」が出てきているのか、そしてその対策はどこにあるのか、本書は2016年9月9日に放送されたNHKスペシャル「私たちのこれから #健康格差 ~あなたに忍び寄る危機~」を書籍化した一冊である。

第1章「すべての世代に迫る「健康格差」」
実際に日本でも健康格差は生じており、所得によって生活習慣病の傾向から、病気に対する死亡率も変わってくるのだという。糖尿病や骨粗しょう症が顕著に表れており、介護や医療に対する費用についても「経済格差」に比例するものがある。

第2章「秋田県男性が短命な「意外な理由」」
健康についての「地域格差」も存在する。もっとも都道府県ごとに平均寿命も異なるのだが、その中でもワーストに位置しているのが秋田県の男性であるという。その理由として食習慣がある。

第3章「イギリスの国家的対策と足立区の挑戦」
健康格差に対する対策は国・地域で行われておりそのモデルケースとしてイギリスの対策と、東京都足立区の対策を取り上げている。塩分の抑制や菜食の促進が主軸となっている。

第4章「「健康格差」解消の鍵は?」
健康格差を解消する手段は色々あるのだが、本章では国家単位におけるマクロ単位での対策もあれば、地域的なケアを行うなどどちらかというとミクロ単位での対策とを分けて紹介している。

第5章「白熱討論! 「健康格差」は自己責任か」
そもそも健康格差は自己責任かというと、その側面も捨てきれない部分もあるが、完全に自己責任とは言い切れない部分もある。これは経済的なこともあげられるのだが、健康的な食事や習慣を簡単に持つことができないような人々もいるためである。もちろん自分自身でできることはあるのだが、全部できるとは限らない。
もっと言うと世間で言う健康的な習慣や食をしていても生活習慣病にかかる人も少なからずいる。そのため自己責任はあるべきだが、どこまでなのかの線引きを持つ必要がある。

第6章「拡大する日本人の「命の格差」」
日本は長寿国家であるのだが、短命な人も少なくない。もっとも長寿になるのもまた健康格差が一翼を担っているという。その要因と対策について取り上げている。

にわかに信じがたいかもしれないのだが経済格差と比例するかのように健康格差も起こっている事実がある。格差は人間以前に動物の生活の中で必ずつくものであり、致し方ない部分もある。しかしながら解消できるところは必ずある。本書はその対策を見る前の現状を知る一冊と言える。

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