昨年の4月に痛ましい事故、もとい事件があった。東京の池袋にて乗用車が暴走し、2人の尊い命が失われた死亡事件だった。その加害者は元経済産業省の技官であり、民間企業の副社長まで経験した人物であり、事件後、逮捕されなかったことやメディアでも「容疑者」ではなく、肩書きで取り上げられたことから、インターネット上にて「上級国民」が流行した。それ以前にも2015年にオリンピックエンブレムにおいても同様の言葉が使用された。
その「上級国民」に対するものとして「下級国民」が挙げられるのだが、その上級・下級の違いと、下級国民はなぜ生まれ、どのような傾向があるのかを取り上げている野が本書である。
PERT1「「下級国民」の誕生」
下級国民はどちらかというとうだつの上がらないサラリーマンや非正規雇用を受けている方々を表しているのだという。またホワイトカラーの失業者もその中に含まれている。またその下級国民は平成・令和との時代の中でどのような道を辿っていったのかも併せて取り上げている。
PERT2「「モテ」と「非モテ」の分断」
女性ならば男性に、男性ならば女性にモテるかモテないかという印象を持ってしまう。しかし本章では異性にモテることもあるのだが、それ以上に、仕事や家族の観点から「持っている」かと言う意味から「モテる」というよりも「持っている」と言う方が良いのかもしれない。
PERT3「世界を揺るがす「上級/下級」の分断」
経済的な格差により、ある種の「分裂」が起こっているのだという。その分裂を通して、社会的にどのような変化があるのかも含めて取り上げている。
昨年から話題となっている「上級国民」とそれに派生して出てきた「下級国民」の差は、今に始まったことではない。むしろかつてあった「格差」の概念によって生まれたとも言えるのかもしれない。その格差は経済的もあるのだが、展望などを見据える「希望」の所でも起こっているのではないだろうか。
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