鉄道でゆく凸凹地形の旅

日本の地形は狭い国土の中でも変化に富んでおり、なおかつ交通機関を使うと、地形の違いを愉しむことができる。鉄道もその例外に漏れず、全国津々浦々の地形を愉しむことができる。そのうち「凸凹(でこぼこ)」と呼ばれるほどの地形にも特徴があり、列車に乗ってみるとどのような感覚になるのか、本書では実際に乗車してみて感じた事を取り上げている。

第1章「ひと味違う「山の地形」が望める車窓」
雄大な山々を眺められるのも列車の魅力としてある。その列車の車窓に映る山々とその地形はどのようなものか、北は北海道から南は九州に至るまでの「山」の地形を綴っている。

第2章「実は山あり谷ありのなれし」
山手線というと、東京都民の多くは慣れ親しんでいる。かくいう私も過去に仕事で使ったことがあったほどである。日常的に使う山手線であるだけに、慣れ親しんでいる風景は飽きてしまう印象なのだが、実は山手線にも意味があり、東京には「山の手」と呼ばれる地域が存在しており、今ある山手線の中にある地域一帯がそう呼ばれている。低地や坂を経ての台地と呼ばれる高台の起伏と、地形があたかも手のようにできているところから名付けられた。そのため山手線にも「山」のような場所が存在する。

第3章「峠越えする鉄道―急勾配をどうするか」
鉄道は路線によって峠越えをする事もある。昨年の台風19号(令和元年東日本台風)による大雨の被害により、現在も一部不通の状態が続いている箱根登山鉄道が代表として挙げられる。このほかにも峠を迂回する鉄道もあれば、登るにしても周囲をループすることもあれば、ジグザグ状に登る鉄道も存在する。

第4章「神出鬼没 東京メトロ丸ノ内線凸凹の旅」
私自身も東京メトロ丸ノ内線には何度か乗車したことがある。メトロというと「地下鉄」であるためずっと地下で運転しているのかというとそうではなく、一部の駅では地上に出てくることもあれば、上り下りをするような区間まである。そう考えると地下鉄でありながら凸凹を味わえる路線とも言える。

第5章「知られざるジェットコースター・メトロ 都営地下鉄大江戸線」
上り下りを楽しめる地下鉄は丸ノ内線だけでなく、都営地下鉄大江戸線もその一つである。しかも上り下りの起伏は丸ノ内線以上で、あたかもジェットコースターのような感覚を味わえるのだという。地下鉄であるのだが、通っている地下の中でも深いところ・浅いところといった起伏がある。もっとも東京の地下鉄はまさに蜘蛛の巣のごとく、複雑に入り組んでいる。そのため、こういったジェットコースターのような地下鉄が生まれたのではないかと思われる。

第6章「鉄道カープ名場面50選」
鉄道には緩急問わずカーブはつきものである。しかしそのカーブによっては印象に残ってしまうものもあるのだという。本章では全国の鉄道から選りすぐりの鉄道カーブを50カ所選出している。

第7章「東京23区内 私鉄沿線地形散歩」
東京23区には数多くの鉄道が走っているのだが、私鉄も例外なくある。その私鉄沿線には、列車に乗る以外にも散歩をして分かる魅力も存在する。その魅力とはどこにあるのだろうか、本章にて取り上げている。

第8章「海岸の豊かな地形をゆく」
鉄道の中には海岸にある路線もある。代表的なものとしてはリアス式海岸を走る三陸鉄道がある。他にも海岸の地形を愉しむことができる鉄道路線もあるのだが、本章ではどのような路線があるのかも紹介している。

鉄道路線を見てみると、鉄道もさることながら奥が深い。なおかつ鉄道から見る日本の風景・地形は国土が狭いように見えて、実は変化に富んでおり、日本ならではの良さを知ることができる。鉄道の良さ、日本の風景の良さを両方とも楽しめる一石二鳥の一冊と言える。