東アジア仏教史

仏教は東アジアにおいて生まれ、育っていったものである。もっとも仏教の歴史は2500年以上も前に釈迦(ゴータマ・シッダールタ)がインド北部で悟りを開き、開祖したことから始まる。釈迦が仏教を開き、インドや東アジアを通して伝播し、確立されていったのか、本書ではその歴史を紐解いている。

第一章「インド仏教とその伝播」

初期の仏教はインドで育ったことから「インド仏教」と呼ばれるものがものである。釈迦が入滅後は弟子たちが信仰を広げ、現在ある中での「大乗仏教」が形成付けられた。

第二章「東アジア仏教の萌芽期」

仏教はインドを経て中国大陸へとわたって行った。時代はキリスト教における「紀元」を迎える前後のことである。それまで中国大陸では王朝が変われど「儒教」の教えが中心だった。もっともこの紀元前後に仏教はインドから西へ東へと伝播していくことになった。本章における中国大陸への伝播は絹の交易などに使われた「シルクロード」を通して伝わっていった。

第三章「廃仏と復興」

特に中国大陸では仏教を広がりを見せたが、前章でも述べたように儒教が根付いている国であるが故に、儒教の反発も強くあった。それだけでなく中国大陸では「中華思想(華夷秩序)」があることから、西から来る仏教を「夷狄(いてき)」と見なす人も少なくなかった。やがて廃仏を行う人も出てきて、仏教は廃れたかと思いきや、復興も見えてきた。

第四章「中国仏教の確立と諸国の受容」

なぜ復興するようになったのかというと、それは宗派を新しく作ったことも一因としてあげられる。「禅宗」が挙げられ、中国としての「仏教」を確立していった。

第五章「唐代仏教の全盛」

やがて仏教が栄えるようになり、「唐」の王朝ではいよいよ日本に伝来するようになった。有名な話として鑑真が753年に屋久島に上陸し、その後禅宗を日本に伝えたことは有名な話である。

第六章「東アジア仏教の定着」

禅宗の教えは中国大陸から日本のみならず、ベトナムにも信仰されるようになった。やがて日本でも奈良時代、平安時代と仏教のあり方を進化していき、日本独自の「宗派」も生まれるようになった。

第七章「禅宗の主流化と多様化する鎌倉仏教」

広がりは平安時代を経て鎌倉時代入ってきても宗派の多様化はとどまるところを知らなかった。当時の仏教は「禅宗」が中心でだったが、この禅宗をもとにして亜流の宗派が次々とできてきた。

第八章「近世の東アジア仏教」

仏教は東アジアで広がったと書いたのだが、実際の所近代になってきて中国大陸では「明」の王朝時代から衰退の一途を辿っていった。また他にも台湾や朝鮮半島における仏教のあり方も取り上げている。

仏教はアジア諸国にて栄えていったと書いたのだが、実際の所細かく見ていくと中国では一時期栄えていたが、衰退し、朝鮮半島でも同じように栄えていたが儒教やキリスト教が中心となっている。仏教の信仰が厚いのは日本と、あとは東南アジア諸国がおおく、東アジアはそれ程でもない。しかしそうなった要因にも「歴史」があり、本書で紐解くことができる。