日本における「貧困」と世界における「貧困」は異なる。日本における「貧困」は、「格差問題」などの所得や雇用によるところから生じるものであり、世界は戦争における難民など、もしくは強固な資本主義や独裁主義などから生じるものである。もっともよく似ている意味合いであるが、貧困の「質」そのものに違いがある。
本書は世界的にも「貧困」をなくす機関を担う「国際開発協力」の活動について紹介するとともに、「貧困」そのものの問題についても考察を行っている。
第1章「「開発」とは何だろうか」
貧困を低減・撲滅を図るための「開発協力」や「開発援助」について本書は取り上げているが、その「開発」とはいったいどのようなものだろうか。
「貧困」における「開発」は資金を使って、公共料金の見直しや、経済的な改革、雇用対策などを行うことを指している。その一例として「世界銀行」と「途上国政府」との関係を取り上げている。
第2章「政府による開発援助」
本章では「ODA(政府開発援助)」をもとに政府主導による開発援助についてを述べている。
日本はODAとして2010年現在で110,5億ドル(約8兆円)の予算を計上しているが、その110億ドルある予算の中でどのように配分し、使われているのか、そして日本におけるODAの歴史とは何か、と言うところを解き明かしている。
第3章「市民の国際開発協力」
本章では民間の「国際開発協力」として「NGO(非政府組織)」を中心に取り上げられている。東日本大震災から1年を迎えたのだが、国内外のNPOやNGOが様々な復興支援を行っており、政府とは違い、私たち国民との距離が近い組織という位置づけである。本章ではあまり聞き慣れない「北」と「南」のNGOの役割や成り立ちの違いについても取り上げられている。
政府や民間問わずして「貧困」の解決に向けての動きを行っている。では私たちに何ができるのか、本書を出版したフェリス女学院大学ではカンボジアで活動を行っているNGO「かものはしプロジェクト」なども行っているという。そういったNGOに参加しなくても、今着ている衣料の多くは開発援助を受けている途上国で作られたものである。その国の現状を本などから調べてみる、もしくはそれに詳しい人から話を聞き、関心を持つことから「貧困」の解決への第一歩となる。
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