新装版 隻手の声 鬼籍通覧

「隻手(せきしゅ)」は簡単に言うと「片手」である。そう考えると片手が鬼の手のように見えるのだが、本書の表紙を見るに鬼の手になっている描写は一切存在しない。また鬼と言っても「鬼籍」であり、亡くなった人の一覧のことを表している。よく亡くなることを「鬼籍に入る」と表している。

本書はミステリーの雰囲気を持っているのだが、あくまで遺体の解剖現場を描いている。ただ法医学の教室と刑事も登場人物にいることから、どうしてもミステリーのイメージが拭えない。

とはいえ、遺体の解剖の現場はなかなか踏み入れられるようなものでなく、なおかつどのように描かれるのかといった興味もそそられる。実際に読んでみると、解剖を通して、亡くなった人々の姿、さらには法医学を学び、解剖の現場を学ぶことについて奮闘する姿がありのままに映し出されている。もっとも著者も法医学教室を勤務しているだけあり、解剖の現場はかなり生々しく描かれていた。

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