ヒトデとクモヒトデ―謎の☆形動物

まだまだ暑い時期である。私の住んでいる鎌倉でも由比ヶ浜や材木座の海岸には多くの海水浴客が来る。一昨年からコロナ禍によって、海が開かないと言ったことがあったのだが、3年ぶりの海開きとなり、コロナ前の状況に戻りつつある。しかし第7波もあり、油断もできない状況であることは間違いない。

「海」と言うと、海の生き物もけっこうある。本書で紹介するヒトデもまた海の生き物で有名だが、なぜ「☆(星)」の形をしているのか、そしてヒトデの生態とはいったいどのようなものなのかを取り上げているのが本書である。

1.「海の☆の正体―真の姿を知っていますか」

ヒトデがなぜ「☆」なのかは、概要的な部分で一昨年の「ウニはすごい バッタもすごい – デザインの生物学」でも取り上げている。「ヒトデ」とひとえに言っても、300種類以上、さらにクモヒトデに限っても200種類以上も種類がある。

ヒトデ・クモヒトデの「☆」の中にある、メカニズムには謎が多く、その謎を解き明かしているのが本章である。

2.「歩いて、潜って、でんぐり返し―動きまわる☆たち」

ヒトデというと動かない生き物のように見えて、実は潜ったり、歩いたり、森光子主演の放浪記のごとくでんぐり返しをしたりするようなこともあるという。

3.「食べるためのあの手この手―☆たちの食事」

1.にあるヒトデのメカニズムの中にヒトデをウラ返しにすると真ん中に口なるものが存在する。その口で食事を行っているが、どのようなものを食べ、消化していくのか、またどのように獲物を獲るのか、なども取り上げている。

4.「☆たちの子育て―知られざる一生」

もちろんヒトデもまた子をつくり、育てていくことはある。しかしどのようにして産み育てていくのか。散乱から孵化、子育ての謎が網羅されている。

5.「☆形の謎」

生物には色々な形がある。しかしヒトデは「☆」の形であることは変わりないのだが、なぜ「☆」となり得たのか。生物の起源からの流れも含めて解き明かしている。

6.「ヒトとヒトデとクモヒトデ」

人とヒトデとの「共生」はどのように行ったら良いかを取り上げている。特にヒトデの場合は海の生物である一方で、食用になることはほとんどなく、種類によっては毒も持っている。また自然環境の変化に良くも悪くもヒトデが関与することもある。

ヒトデは海の生き物の代表格としてあげられるのだが、特徴ある形によって有名である。その特徴ある「☆」なのかもまた本書によって謎解きにもなれば、謎多き生態について全部ではないものの、紐解くことができる。本書を持ってヒトデの魅力が高まるか低くなるかは読み手次第であるが、ヒトデのことをもっと知りたいのであれば本書は適している。

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