つながりの蔵

人には必ず、何かしらの「つながり」を持っている。親子にしても兄弟姉妹にしても、友人にしても、職場・学校の人間関係にしてもである。

本書はとある小学生が家の外れにある蔵が舞台である。小学生は父を亡くし、母と兄弟とで暮らしていた。その哀しみを隠しながら友情・恋愛・ファッションとを謳歌しながら、友達と一緒にとある蔵に入った。

その蔵にはもちろん昔ながらもものや、親・祖父母、あるいはその上の代にまつわる品などが眠っていた。それらの品々は蔵を持つ家族そのものの「歴史」であると同時に、家族それぞれの「哀しみ」の在処があった。日常の中で、なおかつ好奇心で覗いてみた「蔵」。その蔵の中にある「哀しみ」を見た小学生たちの変化があった。そしてその小学生たちが成長するにつれ、蔵で見てきた「哀しみ」をどのように受け取るかもまた想像してみると面白い。