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ミステリー

私立シードゥス学院 小さな紳士の名推理

本書の舞台は全寮制の寄宿学校であるが、そこである殺人未遂事件が起こった。寄宿学校の生徒たちと寮監らが時には衝突しながらも、解決に導いていくという作品である。 こう見てみるとミステリーであり、なおかつ推理小説のような印象である。しかしながら謎解きを行うのだが、それぞれの「話」にて問いが出てくる。その「問い」を見てみると、あたかもそれをもとに寮監や生徒たちが推理を行っているようでいてならず、実際の殺人 […]

刑事が法に背く時

よくある「こいつおまわりさんです」を連想するようなタイトルである。警察、もとい刑事は犯罪者に対しては厳しく取り締まり、善良な国民に対してはやさしいイメージがもたれる。しかしあくまで私のイメージにあたるため、他の人にとっては、ドラマ・アニメ化されたマンガ「ハコヅメ」の1シーンのごとく警察に対しての罵詈雑言のような事も少なくない。 それはさておき、刑事であっても一人の「人間」である。法律と道徳の狭間に […]

白医

本書はミステリーでありつつ、終末医療のことも描いている。というのは不審死の事件として取り上げてはいるものの、末期を迎えた患者は本当に死を選んでいるのか、また生を選んでいるのかはわからない。しかしながら、ただ生きるだけでの地獄よりも、自分の意志のあるときに「死」を選び、延命治療を拒否して死ぬといったことがある。 かつて当ブログでも「尊厳死」「延命治療」に関しての本を取り上げてきたのだが、その中で考え […]

<銀の鰊亭>の御挨拶

とある港町の高台に「銀の鰊亭」と呼ばれる老舗料亭・旅館があった。風景を一望できる所と高台にあるところから「高級」と名付けられたのだろう。 しかしその料亭には謎の「事件」が連続して起こった。しかもその料亭に通う人、働く人にも何かしらの「謎」があり、本書の帯の通り「謎」がいっぱいだった。その謎を解くとなると、料亭で料理を舌鼓しながら一息つけるわけでもなく、謎を解いていかないと行けないことになる。 その […]

育休刑事

本書に出てくる刑事は、警察署の刑事であるが、結婚して子どもを出産したことにより、育児休暇(育休)を取得して、子育てに勤しんでいた。刑事として仕事に集中していたが、子宝に恵まれて、ようやく家族のことに直接目を向ける時期が来たにもかかわらず、名探偵コナンの江戸川コナンよろしく、出くわす場所で事件が起きてしまう。 その事件は主に「家族」にまつわるトラブルから起きたものがほとんどで有、事件を追っていく中で […]

おいしくて泣くとき

子どもの貧困を救うために「子ども食堂」と呼ばれる活動が全国的に行われている。無料、もしくは有料でも手頃な価格で食べられ、子どもたちの「共生」やケアを主体として行われている。特に「格差」が社会的も深刻に取り上げられ、なおかつ貧困が子どもにも波及してからそのような活動が広がりを見せた。しかしながら、昨年初頭から出てきた新型コロナウイルスの感染拡大により、運営自体が厳しくなってしまうケースが後を絶たない […]

偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理

とある駅前交番の警察官だが、推理力はズバ抜けている部分もあるが、実は「訳あり」とも呼ばれている警察官である。 その警察官の名が本書のタイトルになっている狩野雷太、そして彼が所属している交番が神倉駅前交番である。本書はこの警察官の周囲で起こった事件、そして狩野雷太自身が推理した物語を5編収録されている短編集である。 一見小さい事件のように見えて、実は大きな事件のきっかけとなるようなものだらけであり、 […]

ほんのこども

「子ども」と言うと純真無垢であり、なおかつ可愛い存在とも言える。しかし純真であるが故に、時として残酷な言葉をなげかける、あるいは残酷なことを行おうとすることもある。 しかしそれらは自発的に行うと言うよりも、両親、さらには周囲の人物の影響によるところが多い。本書で登場する子どもたちの親が起こしたある「事件」がきっかけにより、性格や行動が歪んでしまった、いや「壊れてしまった」が適当かも知れない。 壊れ […]

目を見て話せない

「コミュ障(コミュニケーション障害)」をひとえに言っても、様々な種類がある。本書の主人公は話すときに目を見て話すことができない状況もあり、元々はマンガだが、アニメ・ドラマにもなった「古見さんは、コミュ症です。」の主人公の場合はそもそもの人付き合いが苦手で会話もままならない状態(会話しようとすると激しく震える性質である)になるという。 かくいう私自身はその両方には当てはまらないのだが、積極的に声を掛 […]

まりも日記

猫は不思議な生き物である。固体にもなり液体にもなりと言うのもあるのだが、気まぐれで、なおかつ表情・行動ともにかわいさを見出し、どうしても放っておけない、もしくは魅了されてしまう人も少なくない。かくいう私もその一人である。その影響もあってか猫を飼う人もいるのかもしれない。 本書はその猫によって人生を翻弄された人たちを描いたミステリーである。猫とミステリーというとミスマッチのようでいて、物語を読んでみ […]