私立シードゥス学院 小さな紳士の名推理

本書の舞台は全寮制の寄宿学校であるが、そこである殺人未遂事件が起こった。寄宿学校の生徒たちと寮監らが時には衝突しながらも、解決に導いていくという作品である。

こう見てみるとミステリーであり、なおかつ推理小説のような印象である。しかしながら謎解きを行うのだが、それぞれの「話」にて問いが出てくる。その「問い」を見てみると、あたかもそれをもとに寮監や生徒たちが推理を行っているようでいてならず、実際の殺人未遂事件の謎はどこにあるのかという疑問も出てきてしまった。

とはいえ、一見繋がりのない「問い」がやがて謎解きを続けていくうちに、事件を解決するための糸口になっていくというものである。ミステリー作品であり、すこしライトな感じではあるのだが、表現というよりもテンポの意味で読む人を選ぶ一冊であった。