刑事が法に背く時

よくある「こいつおまわりさんです」を連想するようなタイトルである。警察、もとい刑事は犯罪者に対しては厳しく取り締まり、善良な国民に対してはやさしいイメージがもたれる。しかしあくまで私のイメージにあたるため、他の人にとっては、ドラマ・アニメ化されたマンガ「ハコヅメ」1シーンのごとく警察に対しての罵詈雑言のような事も少なくない。

それはさておき、刑事であっても一人の「人間」である。法律と道徳の狭間にさらされることも往々にしてある。本書はとある不審死を遂げた事件の捜査を描いている。この事件の捜査をしていく内に、殺人事件なのか、それとも自身の尊厳死なのかという苦悩も描かれている。

本書を読んでいくと、評論家の西部邁(にしべすすむ)の自殺の件を想起せざるを得ない。この自殺について幇助を行った人が逮捕される、いわゆる「事件」にまで発展した。もっとも当人は晩年、「死にたい」「自殺したい」といった願望があり、実際にそれを行うようにしたのだが、それが「事件」となり明るみに出た。

本書は殺人と尊厳死について改めて西部邁自殺の件と併せて考えさせられる。

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