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日常

ふりかえる日、日―めいのレッスン

物語は、突然の出来事などから起こることもあれば、何気ない日常からも生まれる。特に何気ない日常の中にも多少なりの「変化」があるのだが、その「変化」のあり方が、日々の物語を紡いで行く。 本書は主人公の姪が日々触れるあらゆるものに耳を澄ませて成長して行くと言うものである。五感のうちの「聴覚」によって春夏秋冬を描き、なおかつ物語として織りなしていく所に魅力がある。 ショートショート形式にて描かれており、タ […]

静かな終末

2019年11月に逝去したSF小説の大家が残したショートショートのうち、本書は選りすぐりで50編収録している。 ちなみに収録されているショートショートの内容というと、SF作品と言うよりも日常的なものもあれば、日常的でありながらもナンセンスなタッチでつくられているもの。もっと言うとSFと、本当の意味で「多種多様」と言う言葉がよく似合う。 元々SF作品の大家であるが、それだけでなく、長編作品を生み出す […]

アポカリプスの花

区役所に住む主人公の女性は恋人と同棲し、順風満帆の日々を送っていた。しかしその日常の中で仕事・家両方で謎の現象が起こり、主人公を苦しめた。しかしその現象は主人公しか見えず、恋人や仕事の同僚を含めどの人もわからない。「幻覚」に陥っているのではないかと言うような状況が続いた中、恋人をよく知る男性が現れた。 現れたと同時に恋人がいなくなり、あたかも幻覚と呼ばれる「違和感」がさらに広がっていく。その要因と […]

ぐるり

人の生きる道も季節と同じように、ぐるりと巡る。それは人の出会い・別れもまた同じようなものなのかもしれない。その人との出会い・別れ、さらにはすれ違いなどの交錯がふんだんに盛り込まれている小説集の一冊である。短編集のようにも見えるのだが、短い作品もふんだんに盛り込まれているため、どちらかというとショートショートと言える。 実は著者自身作家であるものの、作詞家、バンドミュージシャン、ラジオパーソナリティ […]

世にも美しき数学者たちの日常

数学者の「日常」というよりも「生態(?)」を追った一冊である。大学教授はもちろんのこと、数学講師、数学に精通している人物など本当の意味で色々な数学者と会いインタビューを行っている。 数学の魅力、さらに数学研究の魅力など余すところなく綴られているのだが、数学者によっても数学や研究の見方がバラバラであることも面白味がある。中には数学自体が人生で、数学の公式を紐解くことに魅力を覚える方もいれば、「修行」 […]

緊急事態下の物語

「緊急事態宣言」は新型コロナウイルスの感染拡大の度合いによって出ており、これまで緊急事態宣言は4回、まん延防止等重点措置は2回発令された。第7波は発令されていないが、「BA.5対策強化宣言」が地域によって出ている。 本書はそのコロナによる緊急事態宣言下の中で紡がれる物語である。この「緊急事態宣言」の色が強かった時期として1回目の宣言下がある。その時は飲食店はどこの店も閉まっており、学校もなく、会社 […]

ワンさぶ子の怠惰な冒険

著者の家族が北海道から地元・福井に帰ってからのことを綴った1冊である。5人家族+犬1匹といった構成であるため、様々な出来事が起こってもおかしくない。案の定本書では各月ごとにどのような冒険や出来事があったのか、一つ一つ綴られているのだが、そこには家族と犬との「日常」がありふれている。 著者と夫と子ども三人、そして犬の家族だが、中でも子ども三人がそれぞれ「進学」をしていく。その中での「受験」もあるなど […]

飛石を渡れば

私自身「茶道」のことはよくわからないのだが、その茶道を行う中で「茶室」と呼ばれる所でやる所もあれば、外で行う「野点(のだて)」もある。特に茶室のイメージの中には、躙(にじ)り口に入るまでの中で飛石があるというイメージを持ってしまう。 本書はその茶道にまつわるエピソードを12編取り上げている。ちなみに取り上げられているものとして家族のものもあれば、実際に茶道を体験してのものも描かれている。情景もまた […]

いずれすべては海の中に

クジラ・海・音楽と見ると、どことなく幻想的な雰囲気を持っている。本書もその例外に漏れないのだが、短編集でありつつも、SFやミステリーの要素もふんだんに詰まっており、なおかつファンタジーの要素もあるなど、「小説」の概念でできることのほとんどを短編集の中で行っているような感覚だった。 幻想とその物語にある「現実」がうまく調和されており、物語の中にある「喪失」を感じさせるようにつくられている。そう言う意 […]

ガラスの50代

50代は遠いように見えて、あっという間にやってくる。かくいう私も今年で37歳になるのだが、13年は長いように見えて、実際に短く思える。そもそも50代となると、仕事を行っている方は総決算の時期にもなるのだが、様々な「節目」となる時代でもある。 中年から高齢になり始める時代である50代、それも女性の方々はどのような境遇を迎えるのか、本書は自ら50代としての体験だけでなく、読者アンケートを通して、50代 […]