目のつけどころ

「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」で有名な山田真哉氏の最新刊であるが、本書はビジネスにおけるコミュニケーション、アイデア、分析にしても「目のつけどころ」が大事であると説いている。漢字三文字で言うと「着眼点」がそれに当たるのだろう。書評をする人にとっても様々な観点を持ちながら分析を行うことによって本の特性や善し悪しを書くところで「目のつけどころ」は必要である。

序の部「目のつけどころとは何か」
では「目のつけどころ」、いわゆる「着眼点」というのは何なのかという考えに入っていく。「目のつ けどころ」というのは「パターン」を知ることであったり、それによって思考やコミュニケーションを深めるところにあるという。本章では「紳竜の研究」という有名なDVDや島田紳助のことについても挙げられている。島田氏はお笑いを始めるに当たり「教科書を作る」とあったが、それに関連することとして、今までにない笑いをつくるために、上岡龍太郎から今まであったお笑いのパターンを学んだことを聞いたことがある。そのことも「目のつけどころ」を育てた一つではなかろうか。

1の部「分析で視点を増やす」
まずは「視点」を増やすところから始まる。その方法として「分析」が挙げられている。ではどこを分析するのかというと、モノサシとして「ネーミング」・「身体感覚」・「対義語」など全部で6個挙げられている。

2の部「視点をアイデアに変換する」
様々な視点を持つことによってアイデアを出すことができるという。そしてそのアイデアをどのように落とし込むのか。著者は「黒十字アイデア法」や「マトリックス」でもってアイデアを出したり、落とし込んだりすることができるという。そう言えば、山田氏のセミナーで本のタイトルを決めるにもこの「黒十字アイデア」を使っていたことを明かしていた。著者は本のタイトルに限らず、長年この方法などでもって様々なアイデアを捻出し、そして形にして表わしてきた。

3の部「説得は掛け算」
相手を説得させるとなると「感情」「論理」など様々な力を駆使するが、本章では、
「説得力」=「目のつけどころ」×「手段」×「権力」
と表わしている。最初の「目のつけどころ」「手段」は分かるのだが、説得のスパイスとして「権力」を駆使している所が印象強い。但し「権力」というと人と違う位置、人と高い位置にいるということで「格差」がある。つまり「権力」での差別化をつくることができる。他との違いを見出すことによって説得力の一助にできるという。

4の部「3秒で目をつける」
3秒で目をつける方法、単純に目をつけるにはどうしたらいいのかについて書かれている。
著者は20年にもわたって「目のつけどころ」について考えたという。

着眼点は人の数ほどあるのだが、どのような特長があるのか、どのように着眼点を増やしたらよいのかのコツについての集大成がここにあると言っても過言ではない。本書は「目のつけどころ」を鍛えるため、増やすための一冊であり、それをもとにして、様々な考え方を身につけて行けば、考えること、学ぶことが楽しくなる。本書はそのスタート地点に位置づけられているのではないかと私は思う。