捏造されたヒーロー、遠山金四郎

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「遠山の金さん」と言えば時代劇の中でも有名である。もちろんこの時代劇の主人公は遠山金四郎(とおやまきんしろう)である。実在する人物かと思ったら、半分合っている。なぜ「半分合っている」という回答にしたのかというと、元々のモデルは江戸時代の旗本・北町奉行・南町奉行、大目付と歴任した「遠山景元(とおやまかげもと)」、この景元の通称が「金四郎」だったのである。そのため実在する人物であるのだが、通称として呼ばれていたため「半分合っている」という表現を使ったのである。

この遠山景元の存在は時代劇「遠山の金さん」によってスターダムに上がったと思ったら、これにも前段階があり、景元の死後、物語として歌舞伎や講談として話題に取り入れられ、長きにわたって伝えられ、それが戦後、1955年以降からスタートした陣出達朗の時代劇小説シリーズ「遠山の金さん」となって伝えられた。

「遠山の金さん」と言うと「桜吹雪」が最も有名であるが、実際の所本当に出したかどうか、さらにはどこに出したかに至るまで諸説あり、はっきりしていない。もっとも遠山の金さんが長らく伝えられた理由として北町奉行時代に町人の生活と利益のためにかの老中・水野忠邦や南町奉行と強く対立したことが挙げられるのだが、実際の所水野忠邦が推し進めてきた天保の改革の一部を推し進めていった。たとえば風俗本(人情本)などの取り締まりや寄席の削減など、庶民の嗜みをことごとく取り締まっていった負の評価もあった。

本書はその悪い部分の評価があまりないことについて問題を提起した一冊と言える。良きヒーローとしての側面が強い「遠山の金さん」に一石を投じたと言える一冊である。

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