地べたを旅立つ 掃除機探偵の推理と冒険

本書の主人公は警察官だが、33歳と若い。しかもシングルファザーで小学5年生の子どもがいるという、いわゆる「なんじゃこりゃ」と言うような状況だが、実はここには家族・親族の悲しい背景があった。

見るからに荒唐無稽のような設定であるのだが、事情もありつつ、なおかつAIの技術が用いられており、奇想天外な「事件」へと発展して行く。ただ、この事件を紐解いていくと、なぜこのような奇妙な生活になったのかが良く分かる。

よく家庭的な事情というと「複雑」といった言葉を用いられるのだが、その複雑さがそのまま本書の物語にて表されている。

もっと荒唐無稽だったのが、その主人公が事故により、本書の表紙にもあるようにルンバ(いわゆるロボット掃除機)になったと言うのだから驚きである。ある意味ナンセンスな事件解決と言ったものが強く残ってしまうのだが、複雑な家庭をなんとかしたいという思いが残っており、それに向けて地べたを這いつくばって(ルンバだけに)奔走する姿は色々な意味で印象的だった。

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