お金の流れを呼び寄せる 頭のいいお金の使い方

著者の午堂様より献本御礼
社会人になって10万以上の給料をもらえば必ず何かに使いたくなる。しかし「戦後最大の好景気(実感無き好景気)」以降、やたらに貯金をする若者が増えているという。1カ月で平均で3〜5万、中には10万円貯金している人がいるという。いくらやっても報われないという風潮か、それとも消費をした所での見返りが期待できないのかというのがあるのではないかというのが私自身見ていてそう思った。私も「若者」の類に入るのだが貯金はセミナーに出始めるまではかなりやっていた人である。1ヶ月で3万円程度貯金していたので銀行口座には結構お金が貯まっていた。

それはさておき本書は「お金の使い方」について伝授している。「お金の稼ぎ方」というと著者が行ってきた不動産もさることながら、FX、投資信託という所までありとあらゆるものがある。しかし「お金の使い方」となると、それほど多く出回っていない。もしそれがあったとしてもそう言う名の「節約術」という本である。

しかし本書は違う。本書は「自己投資術」の本である。「自己投資」について言及した本に限定してもほとんど見当たらない、もしくは1冊もなかっただろう。それだけ斬新さが溢れている。では中身に入っていこう。

第1章「貪欲にお金を使おう」
まずここではお金を使おうということを言っている。前述のようにやたらと貯金しまくる若者が多いが、そう言う時こそ「お金を使う」ことが大切であるという。ただし誤解してはいけないのがそれが自分にとってプラスとなり、さらにこれから社会人として生きていくための糧となるようなお金の使い方、いわゆる「自己投資」そして「生きたお金の使い方」をしようということを言っている。

第2章「自己投資にお金を使おう」
自己投資の金額としては自分の収入の半分をあてるのが最適であるという。それに関連して20代のうちは自己投資に専念して、貯金はしてはいけないと著者は提言している。私自身20代のため「そうしたほうがいいのかな?」もあれば「もしものことがあったら大変」という考えさえある。
さらに著者は、パソコンや携帯電話は常に最新のものにしているという。私のような書評ブロガーであったのであればせめてパソコンは最新のものを使ったほうがいいかもしれない。パソコンも最近では安くなっているのでそう難しくないだろう(それでも10万以上はするが)。

第3章「他人のためにお金を使おう」
私たちは今日までに親から、会社から、その先輩・上司から見えない形、もしくは見える形で投資されて生きてきている。とりわけ会社では採用費用から、交通費、研修費など何百万も投資されている。そのためにどんどん働いて、その人たちに還元するという志を忘れてはならない。それだけではなく、相手のために金を使うということもまた自分を高めさせる一つである。
本章を読んである人物を思い出したので紹介する。趣味が落語鑑賞なので噺家になるが、「九代目桂文治」を紹介したい。
九代目は「噺家一の吝嗇家」として有名であり、大安売りの日には早く切り上げるように寄席の席亭に要求したことでも有名である。しかしその反面、他人に対しては多く(お金を)包むことでも知られ、とりわけ有名なのは、お座敷で腹いっぱい御馳走された後に腹痛により若い前座に荷物を持たせ、地下鉄へ帰った。その後小さな包みを若い前座に挙げた。その包みの中にはタクシー代よりも多額のお金が入っていたという。
吝嗇であれど、他人に対しての恩義をもって多くのお金を使う美学をもっていた。他人のためにお金を使うというのはそれは自分の性格にも帰ってくるのかもしれない。

第4章「自分基準の価値にお金を使おう」
どのようにしてお金を使い、買ったものを使い倒す、使い倒せることができるものを買ったほうがいいとしている。自分自身の価値観に合致するか、そして価値観を向上させられるかというのを考えて消費をする。ただ単には流行だからという理由で衝動買いをするのは余りにもそんな使い方だと著者は思うし、私もそう思う。

第5章「子供より、まずは自分自身にお金を使おう」
ここは妻子持ちの人を対象にした所と言えるだろう。自分への投資と子供への投資のバランスについて書かれている。特に教育費に関する言及が多い。

第6章「お金が集まる人の習慣を自分のものにしよう」
お金は使い方によったら神にも悪魔にもなれるいわば「諸刃」の要素をもっている。「神」の側面に行かせるためにはこの使い方をマスターしなくてはならない。そのためには「お金耐性」を身につけたり、好奇心を持ったり、衣・住に投資したりということを行うこともまた自分の価値を高めさせる一つの手段であるという。

お金は使い方によっては自分を高めさせる「投資」にもなり、ただお金を使うだけの「消費」や「浪費」にもつながる。まずは自分の使っている財政状況を洗い出してどこが無駄かというのを見出していく、作家の岡田斗司夫氏「いつまでのデブと思うなよ」のレコーディングダイエット、よろしくレコーディング節約術でもって、無駄を省き、その省いたお金でセミナーや書籍をはじめとした「一流」のところに「投資」をしていくことこそお金の使い方であろう。せっかく給料としてもらったお金を投資しないわけにはいかない。