視覚マーケティングのススメ

これまで日本では、アニメや漫画といった「視覚」にまつわる文化が栄え、特に視覚にまつわる技術は世界的にも高い評価を受けている。独創的なものから親しみやすいものまで様々な視覚というものが日本人の目に入ってきている。

文化ではこれほどまでに発展しているのに対し、ではマーケティングはと言うと尊重はされているものの、それを強調、もしくは重視しているとは言えない状況である。

本書は少ない投資で大きくもうけるデザイン戦略として「視覚マーケティング」を提唱する一方、日本の強みともいえる「デザイン」をどのようにしてマーケティングとして発信させていけばいいのかという戦略性について伝授する一冊である。

第1部「少ない投資で大きくもうけるデザイン戦略」
モノやサービスなどの商品を見るにあたってあなたはどこを基準に見るか。
私だったら「質」や「機能性」と「答える」。「デザイン」の本なのにこんな答えになってしまったのだが、実を言うと「デザイン」と答えなくても、私たちの購買行動の中に必ずと言ってもいいほど、無意識のうちに「デザイン」と言うのを見て購買を行うことがある。「衝動買い」と言うのを体験した方もいるが、大概はこの「デザイン」によって購買したとされている。
「視覚」はアンケートという統計によって証明されずとも、無意識のうちにそういったことに結び付けられるため非常に大事な要素とも言われている。本書にも書かれているが「人は見た目が9割」と言う本があるくらいである。私はこの本に関してあまり評価しないが、「メラビアンの法則」と言うのがあり、人が他人に影響を及ぼすものとして「視覚」が55%と言われている。
本書はデザイン戦略と言うのを唱えているが、前述ことから非常に効果的であるというのが分かる。ここではデザイン戦略の「概論」、もしくは「総論」と言う所に当たる。

第2部「デザイン・センスを磨く5つのポイント」
ここでは「各論」として、文字やレイアウト、配色、トーン、コピーにといった所について紹介している。文字の大きさやフォントなどのレイアウトというと結構インパクトの違いが違ってくる。例えば太字にしても斜めにしても強調線を入れてみると、文字を書く上で大きなスパイスにもなり、文字でしかないものをフォントによって色をつけて行く。そのことによって価値は大きく変化するというわけである。色であれば落ち着いた感じにしたらいいのか、攻撃的にしたらいいのか、明るくしたらいいのかで色づかいも変わってくる。色やデザインとなると文章などの「ロジック」とは違った一つの「センス」と言うのが問われる。それだけに、奥深さと面白さがあると私は考える。

日本では独特の「視覚文化」が育まれたため、視覚に対する力と言うのが強く、それに対応したデザインは非常に独特なものがある。それが海外でも評価される所以である。この技術をマーケティングに結び付けさせ、「戦略」立てたデザインを施す方法と言うのを本書は教えてくれる。