会社のために働くな!

今のご時世であれば本書のタイトルにあるとおり、「会社のために」ではなく「自己成長」や「スキルの開花」のために会社で仕事をする人が私たちの世代を中心に増加している。

確かに会社に依存するなというような一冊であるが、私自身、今まで読んだビジネス書の中でこれほど共鳴したものはない。共鳴した部分というのは「北海道」に対してこだわりを持ったところにある。会社のために生きないこと、そして「北海道」に対する愛が詰まった一冊である。

第一章「自分の意思で自分のために生きろ」
この頃「残業=悪」という風潮に陥っている。ビジネス本に関しても残業ゼロということに関した本はよく見かける(その逆について書かれている本もあるが)。その要因にの多くは残業をやるほど非効率的な仕事をしているからにあるという。はたしてそうだろうかという疑問もあり、日経BPにもそのような記事があった
本当にやりたい仕事の時、自分の心に火がつくほど燃えるような仕事に巡り合った体験は少ないかもしれないが貴重なものになる。そのようなときは時間を忘れるほど熱中し、気がついたら徹夜してしまったということもあるだろう。私は社会人の中ではまだ一度も巡り合った事が無い。学生時代ではそういった事は何度かあり、徹夜を何度もした経験があるが苦にならなかった。むしろ楽しかった。そういった体験が後に大きな糧となって今があると実感している。
仕事には要領など、技術的なことは必要だが、好きなことや熱くなることなど精神的な要素も自分を向上させる要因の一つである。

第二章「人間を向上させ、そして強くさせるもの」
著者の人生を見ていっていると、「ハチャメチャ」という単語を地で行く人だなと思った。著者がパチンコ店の経営を行い始めた当時(約25年前)パチンコ業界は引け目に感じられるほど蔑視されていた業界であった。さらにパチンコ経営だけではなく、その後には地域活性化に向けて様々なことに挑戦をした。
人間力を向上させるために自ら掃除を行い、ボランティア活動に参加をし、パチンコ屋をやりながらも共有スペースを立てるといったこともやった。

第三章「地域経済活性化にもの申す」
著者はパチンコ店経営だけではなく、「地域づくり」の財団も立ち上げている。これまで事業を行ったところは、函館、三笠、旭川、留萌、平取、壮瞥、上野幌などが挙げられている。北海道経済は日本経済よりも停滞しているが、その中でも「地域」事業が盛んであることでも知られている。そして4年前に財政破たんをしてしまった夕張でも音楽活動(著者はロックバンドでトランペットを演奏している)、酪農、教育における支援も行っている。
「地域経済活性化」をお金だけではなく、自分の足で行う、まさにその言葉を地で行くような活動を行っている。

第四章「「相思相愛」という、私の哲学」
ここでは人間論とともに、歴史的なことについても触れている。と言うのは著者の父が東京裁判の証言台に立ったことを見て、愛知の殉国七士廟にも足を運んだ。日本人として、北海道民として厳しくても、地域を愛し、日本を愛し、そして自分の仕事を愛し、これからも愛していく。

著者の言葉一つ一つが自分の胸をえぐるかのようであった。仕事にしても人生にしてもアツくなり、そして自分の生まれ育った所に戻り、今まで学んだことを実践しながら、北海道発の経済活性化を行いたい。それが私の大きな夢である。本書は「北海道」に関して共鳴したのと同時に、仕事や人生で忘れていたものを取り戻してくれる一冊であった。仕事と地域について読んだ本のなかでまさに「白眉」と言える。