これまで「メモ」や「ノート」にまつわるノウハウ本が数多く出版された。実践しやすく、試行錯誤をすることによって自分なりのノート術やメモ術になる。
本書はノート術やメモ術を出版した著者、あるいは出版はしていないが独自のノート術やメモ術を持っている人に取材をして、様々メモ術について幅広く紹介している。
ちなみに本書は「マイコミジャーナル」で連載している「メモの極意」から印象に残った物を掲載している。
第1章「超基本、仕事がうまくいく簡単メモ術」
まずは仕事の「基礎の基礎」と言える所のメモ術についてを紹介している。新人の時、もしくは新しいプロジェクトに配属された時は会議の場に出ても発言はあまりできない。ノウハウや技術、さらにはプロジェクト独自の用語ややり方に関して不明な所が多いからである。
会議の議事録や会議の出席者を記録する、さらには電話や報告に関するメモや、仕事以外でもセミナーなどで仕事の新たなノウハウや実践をどのようにしたらいいのかについて紹介している。
本書ではメモやノート術で有名な美崎氏や午堂氏、奥野氏の他に元東北放送アナウンサーであり、スピーチコンサルタントの三橋泰介氏のメモ術についても紹介している。とりわけ三橋氏のメモ術は印象的だった。
第2章「多忙な人が質の高い仕事をするためのメモ術」
プロジェクトが盛り上がってくる、もしくはプロジェクト管理など上の立場になってくると行う仕事量も高くなる。それと同時に高い「質」の仕事も求められる。
仕事の順序もわかってくるようになるが、仕事の割り込みが入るなど流動的になってくることもある。そのためにToDoリストや進捗と言ったメモは欠かせない。他にも仕事での戦略といった「図解メモ」やメモ用ツールとして「ポメラ」も紹介されている。
第3章「アイデアをカタチにするためのメモ術」
アイデアは移ろいやすいもので思いついた物はすぐに忘れてしまいやすい。それを防止するために、メモにして残しておくのが良いが、具体的にどのようにして残していくか。
本章では前章・前々章に引き続き、奥野氏や美崎氏、さらに「図で考えるとすべてまとまる」でおなじみの村井瑞枝氏、さらには「404 Blog Not Found」で有名なdankogai氏こと、小飼弾氏のアイデア・メモ術について取り上げている。
第4章「相手の心をつかむメモ術」
本章の章題を見た時に、「インタビュー・メモ」の事を想像したのは私だけであろうか。本章は相手の心を掴む、顧客の心を掴む、もしくは話し相手の心を掴むと言った意味合いで「心をつかむ」と言っている。
まず顧客の心を掴むとなると「事業内容」や「コンセプト」と行ったメモ術、そして顧客になりそうな人、もしくはお近づきになりたい人にたいして心を掴ませるメールやスピーチのメモについて紹介している。
「メールで相手の心を掴む」というと浅野ヨシオ氏の独擅場と言える。
第5章「「気づき」を成果に変えるメモ術」
気づきは多ければ多いほど、改善やアイデアへの材料となる。しかし折角浮かんだ気づきも何かカタチにして残さなければ元も子もない。
感情から出てきた「気づき」、現状分析をする際に出てくる「気づき」はメモをすることでさらに大きな「気づき」や「材料」となる。
第6章「人生を豊かにするメモ術」
「「人生を豊かにする〜」はちょっと大袈裟だろう」と言う人もいるかもしれないが、人生戦略を立てる、もしくは1日の予定を立てる、1日・1ヶ月・1年の間に何をするのか、計画を立てる・修正すると言ったことを行うと、それを実行し続けることによって夢を叶えたり、充実した人生を送るのも夢ではない。
第7章「結果を出す人のメモは何が違うのか」
ここではマイコミジャーナル編集部の「まとめ」と言った所である。取材・連載をし続けて気づいたこと、「メモ」とは何か、結果を得るための「逆算」、それを行うためのツールとしてメモがあるのではないか。本書のタイトルの「逆算」はそこにつながるというわけだという。
「メモ術」のメドレーと言った方が正しいかもしれないが、目標を達成する、夢を叶える、相手の心を掴む、それぞれ「到達点」がある。その「到達点」に向けて確かな足跡を残す。単なる「備忘録」としてではなく、本当に役立つもの、連載し続け、そして数多く取材してきた中で得た物、それが「逆算」というタイトルになったのだろう。
コメント
メモで人生を豊かにするための3つのポイント – 書評 – 逆算メモ術
これまでの人生の中で「メモを取りなさい」と言われた、あるいは指導されたことがないという人は少数派でしょう。
また、自ら積極的に「僕は一切メモは取りません」と宣言している、あるいは信念として持っている人も少数派でしょう。
つまり、僕らの大多数は、何らかの用途で…