ノマド出張仕事術

著者の上田様より献本御礼。
昨年の夏に「「どこでもオフィス」仕事術―効率・集中・アイデアを生む「ノマドワーキング」実践法」が話題となった。カフェの選び方から使い分け方、さらには道具といったところまで幅広く紹介されており、実践でも(書評を書く機会のみ)大いに役立った。

本書は主に長短問わず「出張」する人が多い人のための「ノマド仕事術」といえる。最近ではスマートフォンやノートパソコンなどのデジタルガジェットが誕生しているのだが、それを仕事、それも出張の場で生かすことにより、より効率的に、いつでもどこでも仕事ができる環境にする秘訣について紹介している。

chapter.1「事前準備編」
本書にはいる前に著者が「ノマド仕事術」を始めたのは10年以上も前のことである。当時はスマートフォンどころか無線LANすら無かった時代である。そのころから著者は当時の環境下で「ノマド仕事術」を実行していた。
さて本章の話にはいるが、「ノマド出張仕事術」を行う「3種の神器」を早速紹介している。「3種の神器」は、

・ノートパソコン
・スマートフォン
・iPad(またはモレスキンノート)

さらに準備としてアプリのダウンロードを行う必要がある。たとえばEvernoteのダウンロードやGmailの準備などの準備について事細かに記されている。
ただし本章でちょっと言及しておきたいのがGmailについて、保存容量は無限ではなく約7GBまでは無料で使うことができる。一般的なビジネスパーソンでは余裕があるため「無限」と表記している。それ以上使う場合はドル単位で区切られており、最大16TBもの容量を持つことができる(樺沢紫苑「Gmail仕事術」p.207より。ちなみに16TB使いたい場合は月々4,096ドルかかる。あとこちらも)。

chapter.2「移動編」
続いて移動である。「ノマド出張仕事術」の中では最も根幹をなす分野といえる。移動時間やそれまでの待ち時間は「隙間時間」と呼ばれるものであり、それを使う使わない一つでオフィス内の仕事量・スピードとも遜色ないものになる。むしろ時間に追われない所を考えると、むしろ効率的に仕事できることもある。そのためには出張までのプロジェクトマネジメントや往・復路での仕事の仕方から電車・飛行機でのセッティングといったところまで紹介している。

chapter.3「現地行動編」
現地での行動や客先へのプレゼンの秘訣について紹介している。特に出張先でのピンチはいろいろあるのだが、資料出力や目的地検索といったところまで網羅されている。さらに宿泊や休憩時間中のひと工夫についても紹介している。

chapter.4「出張勉強法」
「出張先で勉強?」と訝しがる人もいるのだが、出張だからでこそできる勉強もある。むしろ違った環境の中での勉強は刺激的である。異なる土地で得られたものをメモを取り、新たなアイデアや考え方を得て、成果物に昇華する事ができる。

デジタルガジェットの紹介もあるのだが、それ以外にも出張先でしか得ることができないものを確実に得る方法についても紹介されているところが「出張仕事術」の醍醐味である。出張の機会が多い方、とりわけ長距離の出張が多い人であればあるほど、本書の実践効力は大きくなる。