ダイヤモンド社様より献本御礼
「問題解決術」のノウハウ本は様々な類のものがある。しかし大概の問題解決本は「論理」と呼ばれるものが多く、「なぜ」といわれるような質問が多いようだが、それは原因を探るだけで根本的な問題解決にはならない。
では原因を探るのみならず、問題の本質と全体像を探りながら解決策を導き出す方法は無いだろうかと考える。
本書は「タテ」と「ヨコ」の要領で問題の全体の広さと深さの両方を補えるような問題解決術について伝授している。
第1章「シンプルでパワフル! タテ×ヨコの問題解決法」
トヨタの「カイゼン方式」にて使われる「5回のなぜ」。この方法は書籍に度々取り上げられるほどである。問題の本質をつかむために「なぜ」と頻りに聞いて掘り下げるといったことを行う(「5回」はあくまで基準であり、けっして5回でなくてはならないわけではない)。しかしそのカイゼンにも欠点があり、複数の原因があるときが見えなくなってしまうことがあるという所にある。そこの欠点を補うためにヨコを使う。ヨコの質問の仕方については第4章で取り上げる。
第2章「問題をモレなく分解すると解決策が見える」
ビジネスのみならず様々な場で「問題」はつきものである。その「問題」とは何なのかというと、ビジョンや目標と現状のギャップのことをいっており、それが目標に達するまでになにをしなければならないのかということをリストアップしたものであるという。
そのギャップの原因を探り、次章以降で紹介する「タテ」と「ヨコ」の問題分析にて解決方法を見いだすということを行ってみよう。
第3章「「タテの質問」で掘り下げ原因を見つけだす」
タテの質問は「一つの原因を深堀り」していく方法である。第1章で述べた「5回のなぜ」がその方法の一つとして挙げられている。
第4章「「ヨコの質問」で問題の全体像を把握する」
では「ヨコ」の質問はというと、「タテ」で一つ挙げた質問で解決できるのかを聞くところから始まる。もしできないとすると、もう一つ原因を見つけ、また同じように深堀をしていく。解決法と原因が列挙しきった所で、質問を終える。
第5章「身近な問題を「タテの質問」と「ヨコの質問」で解決してみよう!」
では紹介した「タテ」と「ヨコ」の質問を身近な所から原因を探ってみようというのが本章である。本章では例として「学校の成績がよくない」という問題を取り上げている。
第6章「職場の問題を「タテの質問」と「ヨコの質問」で解決してみよう!」
おそらく職場の問題の方がタテ・ヨコとも根深く、広い。問題解決を列挙することが多く、やりがいのあるものはない。実践するならば第5章の身近な問題を行い、そこからスライドする形で職場で行うと良いだろう。
第7章「職場の問題解決の落とし穴」
職場の問題解決では身近な事柄に関する問題解決よりもずっと難しい。というのは解決するのに人員が必要であること、さらにその人選によっては結果が大きく変わってしまうためである。簡単にいうと議論や結論に「偏り」ができてしまうためである。その「偏り」を無くすためには幅広い分野からの人選が必要になるが、そこでも落とし穴がある。ただ幅広い人選を行ったとしても表層的な議論や決断しかできない。「広く深く」物事を見ることのできる人、さらには、幅広いデータを用いることが必要である。
最初にも書いたとおり、問題解決方法はゴマンとある。本書はどのようなものだろうか。原因分析であることから「なぜ」という言葉を重要視している。その一方で「他にないか?」というもう一つの柱を使っている。「タテ」と「ヨコ」となるため問題解決の方法が線一本にならず、「面」でとらえることが可能になる一冊といえる。
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