ろくでなし 伝説のミスター麻雀、酒と女とカネの無頼75年

様々な人の「生き方」「人生」という本は目にしており、当ブログでも取り上げられているが、著者ほど「生きざま」といえるような一冊を目にしたことはない。あったとしても本書の帯紙にあるように無類派の囲碁棋士として知られた藤沢秀行くらいである。

前置きはもう少し続く。私は現在はそれほどやらないものの、小学生の頃から麻雀をやったことがある。小さい頃はあくまでTVゲームで育った程度であったが、大学になると何度か雀荘に足を運んで麻雀をすることもあった。麻雀をもっと勉強したいがために、著者の麻雀術を買い漁ったこともあれば、DVDで著者の参加しているタイトル戦のDVDを買ったり借りたりしたこともあった。著者の人生も少しは知っていたのだが、それ以上に雀風に魅せられたと言った方が良いのかもしれない。そのこともあって、麻雀をあまりやっていない今でも著者の記事を見ると思わず「小島先生」と口に出してしまうほどである。
そのこともあって本書を見た瞬間、即買いだった。それほど著者の人生を見てみたかったに他ならない。では、著者の「生きざま」とはいったいどうだったのだろうか。

第一章「男の原点」
小島先生は福岡・博多にて生まれた。幼少期はまさに「複雑」と言う言葉が似合うほどだった。中学生になると「飲む・打つ・買う」を覚えはじめ、現在でいう高卒の頃になると本格的に足を踏み入れた。

第二章「男の咆哮」
まさに「波瀾万丈」「はっぽうやぶれ」という言葉がよく似合う章と言える。十代から三十代に至っては「飲む・打つ・買う」の全盛期と言える時代だった。と同時にヤクザとの代打ちや自己破産といった衝撃的な内容なものまである。

第三章「男の運命」
小島先生は麻雀を始めた頃から「玄人」と呼ばれる存在であった。そこから「プロ雀士」になるまでの過程を綴っている。しかしそれは決して平坦なものではなかった。むしろ「茨道」という言葉がよく似合うほどである。結婚や兄弟のこと、そして「プロ雀士」になってからのTV出演までの裏話を赤裸々に綴っている。

第四章「男の極意」
古くから小島先生のファンであれば「麻雀新撰組」という言葉を聞いたことがあるだろう。私はまた年端も言っていないため小島先生のことについて調べ始めたときに初めて知った。社会人になってからのことである。本章ではここでのエピソードを綴っているほか、「20年間無敗」という伝説を築き上げた桜井章一との出会いについても取り上げられている。

第五章「男の逆境」
「無冠の帝王」
小島先生はかつてそう名付けられていたらしい。私が小島先生のことを知ったのはタイトルを数多く獲得してからのことだから無理もないのだが。
プロ雀士となってからタイトルには恵まれていなかった。ようやくタイトルを獲得したのは第三期最高位戦、昭和53年のことであった。これについては第六章にて詳しく述べることにする。

第六章「男の決断」
ここでは「日本プロ麻雀連盟」が創設されるまでのいきさつを綴っている。その大きな理由として最高位戦でのある「事件」が起こったことがきっかけである。本章ではそのことについても述べられている。

第七章「男の矜持」
麻雀界の「これまで」と「これから」、これまでともに苦労をしてきた「戦友」や「友」への感謝、そしてこれから活躍する人たちへの「激励」を込めたメッセージを送っている。
本書の最後には著者なりの「死にざま」を描いている。確か一昨年亡くなった囲碁棋士の藤沢秀行が「野垂れ死に」を出版された。そこでも「野垂れ死んでやる」と文末に綴っていたのだが、小島先生も勝負師さながらの死に方を望んでいた。折しもその考えを本書の最後に書いていようとは・・・。

「波瀾万丈」「はっぽうやぶれ」「破天荒」と、小島先生の人生をたとえると枚挙に暇がない。しかし心から麻雀を愛し、麻雀の神から「愛されている」ように思えてならない。その確固たる証拠が今年の3月に麻雀グランプリMAX-2010で優勝していること。御年75歳での優勝だからその凄さがどれほどのことか。
小島先生はこれまでも、そしてこれからも麻雀界で輝きを放ち続け、麻雀界に大輪の花を咲かせ続けることだろう。「はっぽうやぶれ」な生き方と、そして心から魅せてくれる麻雀とともに・・・。