人は動物の例外なく「感情」を宿している。その感情についてコントロールができる点では、感情の赴くままに動く他の動物とは一線を画している。
ではその感情の発達と感情にまつわる障害、そして感情のコントロールはどのように行われているのか、本書ではそれらのことについて考察を行っている。
第一章「感情の基本的発達」
感情は、人間にある「喜怒哀楽」など挙げられるように、根拠があるなしに関わらず出てくる「情」や「感覚」である。「気分」や「情動」などと使われることもある。
本章では「感情」そのものの定義だけではなく、章のタイトルにもあるとおりいかにして人間の感情が発達するかについて書かれている。
第二章「感情調節のメカニズム」
人間は成長をすると、自分の感情がわかるようになり、TPOによって感情のコントロールをし始めるようになる。本章ではその感情のコントロールの一つである「感情調節」の概要を取り上げている。あまり聞き慣れないのだが、いざその概要を見てみると、自分の中で無意識にやっていることも多い。
第三章「感情調節の発達」
ではその感情調節の発達はいつ、どのように行われていくのだろうか。
本書では発達過程として乳幼児、青年・成年、老年に分けて説明されている。それぞれ感情発達の仕方が違ってくると言う。
乳幼児の場合は「感情調節」そのもの、青年・成年になると「愛着」、老年に至っては「ゴール」がキーワードと言える。
第四章「内在化障害」
ここからは感情にまつわる障害について述べられている。その一つとして「抑うつ」や「不安」などの「内在化障害」について本章にて取り上げている。人は成長すればするほど「恐れ」や「不安」を増大させ、「感情」にも繊細に表れてくる。そしてそれがあるきっかけによりバランスを崩し、「抑うつ」と言った心的な障害に陥ってしまう。傾向もあれば予防法も取り上げられている。
第五章「子どもの外在化障害」
「子どもの外在化障害」というと難しく見えるのだが、簡単に言えば「子供の反抗期」と言うべきものなのかもしれない。親や社会への反抗が強くなるのは、だいたい「思春期」と呼ばれる時期、中学〜高校生の頃と言える。
その時期の中で、反抗・非行に走るのだろうか、本書で分析を行っている。
第六章「女子の内在化障害」
本章からは「内在化障害」と「外在化障害」について、女子特有の傾向について考察を行っている。
女子特有の「内在化障害」とはいったい何なのか、それには「遊びの好み」や「人間関係」に起因しているという。
第七章「女子の外在化障害と虐待経験」
第五章にて同様の障害を考察したのだが、女子は人間関係に起因した障害が多いことから、外在化障害についても例外ではない、むしろそれ以上にその障害が顕著に表れるのかもしれない。その障害が母親の立場になると「虐待」に走ることがあるのだという。
感情の発達や障害は男女同じようなものであるという認識があったのだが、本書ではそうではなくむしろ男女に差が見られると言うのを考察の中で見ている。男女の違い、それは趣味嗜好から考え方、人間関係に至るまで傾向は違ってくる(ただし、個人差があることを考慮に入れる必要はある)。本書はそれを解き明かしていると言っても過言ではない。
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