「わかりやすさ」が重要視される時代のなかで「図解表現」は相手を伝えるための大きな武器の一つとして挙げられている。その中で「図解表現」にまつわる本はいくつもでているが、本書はその一つとして「ウォールストリート・ジャーナル」という世界的に有名なビジネス誌で、長年グラフィックの責任者として活躍したドナ・M・ウォン氏が著し、美大から戦略プロデューサーに転身した移植の経歴を持つ村井瑞枝氏が訳した二人の図解のスペシャリストが「図解思考」を提示している。
Chapter1「読み手にとってわかりやすい図表とは」
図表の重要性はわかったが、いざ図表をつくろうとしたら「どのように図表を作ればよいのかわからない」という人も多いことである。本章では「分かりやすい図表」についてを、数字や図表、さらにはフォントや色の使い方まで細かいところまで及んでいる。「分かりやすい図」だけではなく、形や色の意味合いまで変わることは興味深かった。
Chapter2「データを正しく表現する図表のつくり方」
図表をつくるために、作成する材料となるデータを取るのだが、その取ってきたデータの解釈を間違えないように「図表」を作成することが必要である。取得したデータの量や割合を割り出し、線や棒、さらには円や表、ピクトグラムや地図などに落とし込む。落とし込むためにそれぞれのグラフにてどのように描けばよいのかを示している。
Chapter3「図表に必要な統計とマーケットの知識」
図表で使う数字をどのように計算したらよいのか、あるいは為替や株価、あるいは通貨などマーケットにおける独特な数字や統計の知識について取り上げている。
Chapter4「図表作成で発生する問題の解決方法」
図表作成をすることにより、データそのものからどのような問題があるのか、解決の糸口とは何なのか、を示すことができる。データを加工することによって足りないものどこが問題か、解決点かを強調する方法について本章では図表の作り方の応用編として示している。
Chapter5「プロジェクト管理に役立つ図表」
プロジェクト管理は図表にすることは数字で示すのとは異なるため、なかなか難しいが、その図表を作れば、組織や関係そのものの「見える化」する格好の武器となる。本章ではプロジェクト全体から進捗、さらには予算配分に至るまでどのような表を作成すればよいのかを示している。
本書の大きな特徴は「色」や「フォント」といった視覚的にどのように示せばよいのかを伝えているところにある。色の濃さや使い方によって相手の見方も変わることを考えると、図を作成することは思考や説明の道具に限らず、「センス」を作る役割を担っているのではないか、と本書を読んで思った。
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