ウイスキーは日本の酒である

3年前あたりに「ハイボール」が大ブームを巻き起こし、缶で売られるハイボールが売り切れる店が続出するほどにまでなった。

そのハイボールは「ウイスキー」をソーダ水で割ったものを差している(本来は水やぬるま湯でもOKだが、日本ではソーダ水が一般的)。

私自身、酒は何でも飲むがウイスキーを飲むことはあまりない。いったん飲むと止まらなくなり、二日酔いになるためである。だからあまり二日酔いしたくない時はビールばかり飲む。
私の酒癖はさておき、ウイスキーはいつ、どこで発祥したのか、というのは私自身もよくわからない。本書はウイスキーの歴史を日本のウイスキーのイロハとともに紐解いている。

第一章「日本のウイスキー誕生とその受容の歴史」
日本におけるウイスキーづくりの誕生は1923(大正12)年にサントリーが大阪と京都の境目にある「山崎」と呼ばれる所に「蒸留所」が建てられたことから始まる。その「山崎」の蒸留水はサントリーウイスキーの根幹をなしえており、かつウイスキーの高級種である「山崎」もここから来ている。

第二章「日本のウイスキーのつくられ方」
もっともウイスキーはスコットランドを元に作られた。ウイスキー作りが誕生する少し前に竹鶴政孝がスコットランドに留学し、伝統席製法を持ち帰り、第一章にあるように蒸留所を開設した。そのスコットランドの気候は湿潤でありながら夏でも涼しい。「湿潤」という点では日本に通じているが、夏場は太平洋高気圧に覆われ「猛暑」と呼ばれるほど暑い。
そのような気候に合うよう、スコットランドの作り方をベースにしながらも日本独自のウイスキーづくりとしていった。

第三章「ブレンダーが見ている世界」
「ブレンダー」という職業があること自体初めて聞いた。ではどのような職業で、どのような仕事をするのだろうか。
簡単に言えばウイスキーの開発や管理、維持をするために日々ウイスキーを管理・改良を重ねる、いわば「ウイスキーの研究職・修繕屋」といったところである。
本章の話に戻るが、著者がブレンダーとなったのは1999年、しかし入社したのは1973年を考えるとブレンダーの世界に入ったのは1999年、「遅咲きの花形」と呼ばれる人生だったが、そこから著者の快進撃は始まった。

第四章「熟成、その不思議なるもの」
ウイスキーの中でもっとも高いブランドとして「白州25年」や「山崎50年」といった長期的に熟成したウイスキーも存在しており、その味わいはもちろんのこと深みも他のウイスキーを凌駕するほどである。
その熟成するにしても、原酒づくりから貯蔵・保存に至るまでのカラクリを本章にて取り上げている。

第五章「ブレンドという魔術」
本章を知るまで知らなかったのだが、著者は「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも出演したことがあるという。
ウイスキーをブレンドするにあたりブレンダーは五感(特に味覚・嗅覚)を駆使して改良・維持を行う。その五感の使い方についての奥義を本章で紹介している。もっと突っ込んだものもありそうだがさすがに「企業秘密」と言えるのかもしれない。

第六章「世界の中のジャパニーズウイスキー」
長期的に熟成したウイスキーは国際的な評価を受け続けている。「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」という世界の酒にまつわる賞にて2004年以降毎年のように受賞している。受賞実績だけではなく、世界中のウイスキーファンを虜にした。
日本のウイスキーはスコットランドを参考にしたが独特の進化を遂げた。しかしその進化はまだ途中経過である、ましてやそのゴールはないのかもしれない。いずれにせよ終わりなき進化は続き、そして世界からもさらなる進化を期待され、それを背に著者は今日も改良・維持をし続ける。

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