日本における「遊び」の歴史は長く、とりわけ「将棋」や「囲碁」の歴史について、諸説はあるが多くは奈良時代から伝えられたと言われている。
元々は庶民の遊びだけではなく、武士や貴族の遊びとしてもあり、御前対局も行われるほど盛んなものであった。
本書は「囲碁」や「将棋」に限らず、様々な「遊具」や「遊戯」にまつわる歴史を紹介している。
第一章「遊びの伝来と定着」
「遊び」そのものの歴史は人間が生まれた歴史とほぼ等しいように思えるが、「記録」として「遊び」が初めて出てくるのは8世紀初め頃、ちょうど「大宝律令」が施行された時代である。「日本思想大系」という文献に双六や囲碁について書かれていることから始まる。しかし当時は「雑戯」とされており、不謹慎な行為とされたという。
その後平安時代にはいると「蹴鞠」も出てきており、宮廷の儀式として「囲碁」について取り上げられている。またこの時代には将棋も発祥している。
第二章「中世の遊び」
時代は平安時代から鎌倉・室町時代と動乱期、武士の時代にまで進む。そのときには西欧諸国ではトランプ(プレイング・カード)が誕生し、賭博道具として広がってきた。カードといえば「カルタ」も戦国時代に出てきているが、文献では戦国時代に「博打かるた」を禁止する旨が記載されたことから始まっている。
「将棋」における永世名人、「囲碁」でいうと本因坊の世襲が誕生したのも、戦国~江戸時代の間である。元々後者の「囲碁」については「囲碁文化の魅力と効用」に詳しく取り上げられているためここでは割愛するが、将棋も囲碁と同じように、将軍や天皇の前で行われる「御前対局」が始まったのもこの時代である。
第三章「華麗な遊びの世界」
江戸時代から様々な「遊び」が誕生・発展してきた。とりわけ「博打」に値するもの、たとえば「花札」や「チンチロリン」、庶民の遊びとしてある双六、あるいは福引、貴族の遊びとしてある投扇興などが取り上げられている。
第四章「遊びの近代と現代」
本章に入る前に先日将棋の「女流王座戦」にて、ポーランド人の女子大生が日本の女流プロ棋士に勝利したことで一躍話題となった。囲碁ではそのようなことは何度も起こっており、世界戦まで韓国や中国を中心に活躍しているという。
話を戻す。明治維新以後は西欧諸国から誕生したゲームも数多く伝わってきた。それと同時に「ベーゴマ」や「軍人将棋」といった昭和時代に誕生した遊戯もここで紹介している。
「遊び」は時代とともに進化・誕生を繰り返す。日本独自に誕生した遊びも海外に伝わり、逆に海外で誕生した遊びも日本に伝わる。そのことが続くことによって「遊び」はさらに広がりを見せる。そのことは歴史によって気付かせてくれる。それこそ本書の大きな価値と言える。
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