真っ当な野菜、危ない野菜 ~「安全・安心・おいしい」を手に入れる賢い知恵~

八百屋やスーパーなどで売られている野菜、その野菜の中には「真っ当」なものから「危ない」ものまで溢れているのだという。

ではこの「真っ当」と「危ない」の基準はどこにあるのだろうか。そして「真っ当」な野菜が少なくなった理由とはいったいどこにあるのか、処方箋はあるのか、本書は農業そのものの現状とともに提言をしている。

第1章「農業の産業化で失われた4つのこと」
簡単にいえば、「真っ当」と呼ばれている野菜は「在来種」の事を言い、ある土地で長年栽培されていた種類のことを指す。一方で「危ない」と呼ばれているのが「F1種」と呼ばれており、人工的に作られた1代目の品種のことを指している(「雑種第一代」という)。八百屋やスーパーで扱われている野菜のほとんどは後者である。
そうなってしまった要因には「農業の産業化」を挙げている。「農業の産業化」は簡単に言えば「大量生産」や「ハウス栽培」によって通年、かつ大量に生産するようになったことを指す。そのことによって季節関係なく食べることができるが、かえってそれが野菜そのもの味わいや良さが崩れたと著者は主張している。

第2章「真っ当な農家が減った理由」
「在来種」を生産している農家も減少しているが、自分自身農家そのものが減少しているイメージがある。しかし農家そのものの考え方も変わっている、それも「お金儲け至上主義」というような考えを持つ農家も出てきているのだという。
その原因には1952年に制定された「農地法」によって「転用」ができるようになった、そしてその「転用」を期待して農家を目指す人もいるからだという。

第3章「真っ当な野菜を取り戻すために」
「転用」や「F1種」ではなく、「在来種」の野菜を生産するために著者も動いた。2011年5月に岐阜県・大垣市に移住し、小規模で行うことから始めた。その中で化学肥料を使わず、コミュニティを築きながら「在来種」をつくるというプロセスを綴っている。

第4章「真っ当な野菜を大切に味わいつくす」
その「在来種」の野菜を味わうために、「在来種」の見分け方からサラダや煮物など、野菜そのものを味わえるためのレシピを紹介している。

健康の為に野菜をとる人が多くなっている。しかし野菜は選び方一つで、自分自身の健康が脅かされるような事にさえなる。本書は野菜そのものの危機感と、本来ある「野菜」のあり方を示している一冊である。