「帝国ホテル」
私も時々ではあるが、通ったことがある。とはいっても宿泊ではない。勉強会のためにロビーにある喫茶店に通ったという程度である。しかしその喫茶店のサービスもかなり良かった印象は記憶に新しい。
西洋の「ホテル」と、日本独特にはぐくまれた「おもてなし」の文化、それが相乗効果の如く重なりあったものが帝国ホテルのサービスとしてつながっているのではないか、とさえ思ってしまう。
本書はその「帝国ホテル」がなぜ長きにわたってお客様に愛されているのか、接客の観点から紹介している。
第一章「繁盛店には必ず、リピーターがいる」
「繁盛店」というとどの様なことを想像するのだろうか。飲食店であれば、日々行列のできるようなことだろうか、それとも、長年絶えず、お客様が通い続けられるようなところなのだろうか。
帝国ホテルは間違いなく「後者」である。その後者である理由、それは接客を介して、また来ようという口コミと「リピーター」の存在があることが要因であるという。
第二章「私が学んだ帝国ホテルの精神 魔法の七カ条」
七カ条をすべて挙げるのは本書の考えを全て明かすことになってしまうので当ブログでは割愛するが、「コミュニケーション」や「家族」そして「「仕事」であるということ」の本質を学べるところである。普段接客業を勤めている人にとっても、そうではなく、お客様と接していなくても学び、かつ実践できる「七カ条」といえる。
第三章「実践・リピート接客術」
本章では第二章の「七カ条」からさらに発展した接客術を紹介している。より実践的な内容になるよう著者が「帝国ホテル」での接客エピソードをふんだんに取り入れられている。世界で名の知れたホテルだからでこそなのか様々なお客様が来る。その「様々な」というのが肝心であり、そういったお客様のための対処法としても学ぶことができる。
第四章「エピローグ」
著者が帝国ホテルで学んだノウハウは現在接客業やマナー研修などで役立てられている。その帝国ホテルで学んだものとしてもっとも印象的なお客様のエピソードを綴るとともに、接客業のありかたの「これから」を示している。
私も見たことはあるのだが、帝国ホテルでは様々なお客様がいる。そのお客様の出会いと接客によって著者もそうであるが、帝国ホテル、そしてそれに携わる人々が成長し、今日まで続いているといっても良いといえる。それは日本初の洋式ホテルであるからではなく、日本独特の「おもてなし」の文化が続いているからでこそ、続いているのではないか、ということを考えさせられる一冊である。
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