がんのお姫様

今となっては「がん」と言う病は最新医療によって死亡率は減って入るものの、依然として最も亡くなる人の多い病として取り上げられている。しかもこの「がん」は老年・壮年の方々が発病されるイメージがあるのだが、10代・20代の時期に発病する「若年性がん」もあり、それが原因で死に至るケースも多い。

本書は女性が働いている中でがんに冒され、闘病生活と医療制度の狭間に生きる姿を描いているが、その女性は「名家」やら「実業家」やらのうまれらしく、「お嬢様」として育てられた。しかしそれがネックとなり、仕事でも、勉強でも、恋愛でも上手く行かない、その上手く行かないジレンマを抱えていたところに忍び寄るガンが見つかってしまったのである。

本書はそのような物語であるのだが、これはフィクションでは無く、著者自身の実体験、いわゆる「ノンフィクション」作品なのである。著者はいま、卵巣がんを患い、闘病生活の傍ら、本書のように作家活動を勧めているのである。下手したら死に至らしめるような病を時には深刻に時には面白おかしく描いている。おそらく本書のように「がん」と呼ばれる死と隣り合わせの病気にめげることなく楽天的に生きているのかも知れない。