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2014年5月

地方が輝くために――創造と革新に向けての地域戦略15章

最近地方にフォーカスした本が良く出ている。昨年の7月に発売された「里山資本主義」も地方にフォーカスしており、地方の疲弊を訴えた本もあれば、地域が活性化しつつある、という本も存在する。 では本書はどうなのか。本書は都市から役人として地方に赴き、地方の大学で地方活性化を研究し、実践している方が地方改革のあり方について説いている。 地方によっても様々な事情があるのだが、様々な事情だからでこそ、著者は「や […]

一生懸命って素敵なこと

「一生懸命」という漢字は既に認知されているものの、元々「一生懸命」という漢字は俗用である。本来は「一所懸命(いっしょけんめい:武士が,生活のすべてをその所領にかけること。)」と言うのが正しいが、元々は前述の通り武士の領地を守ることで使われたため、時代にそぐわないことにより、近世以降「一生懸命」という言葉が使われ始めた。意味自体は一所懸命でも一生懸命でも同じであるため、併用するところもあればどちらか […]

くじけてなるものか 笹川良一が現代に放つ警句80

皆さんは「笹川良一」をご存じだろうか。もう亡くなられて19年の月日が流れるのだが、今でも「右翼のドン」や「政界のフィクサー」として名の知られている人物である。右翼団体の総裁を勤めた一方で、衆議院議員、さらには財団法人の会長や大学の理事長まで勤め上げた人物であった。他にも起訴はされなかったものの、A級戦犯として指名され「巣鴨プリズン」に入獄した時期もあり、獄中の事を事細かに綴った「巣鴨日記」は大ベス […]

逆境?それ、チャンスだよ

PHP研究所様より献本御礼。 1974年に新日本プロレスでデビューしてからちょうど40周年を迎える長州力。デビュー当時は本名の吉田光雄だったが、ファンの公募により長州力に改名された、40年もの間、強さはもちろんのこと様々な名言を残し、歴史に名を刻んだレスラーであり、インタビュー集なども数多く存在する。しかし本書はかねてからあるようなプロレス本とは異なり、ビジネスマンのために自ら何を残すのか、名言の […]

東京ピーターパン

本書は「音楽小説」と言われる一冊である。平凡な30代のサラリーマンと、ギタリストだった60代、さらにはバンドマン志望の20代、高校生とその姉と世代がバラバラな5人が新しいバンドをつくり、音楽を歌い上げるのだという。しかもそのきっかけはサラリーマンが起こした交通事故だから驚きである。時系列に、それも多重で進められる物語の中でバンドのパートのようにそれぞれ異なるモノの、パートが混ざり合って1つの曲のよ […]

ジェネレーショノミクス~経済は世代交代で動く

あまり聞き慣れない用語である「ジェネレーショノミクス」だが、「ジェネレーション(世代)」と「エコノミクス(経済分析)」を掛け合わせた造語であり、世代論に基づいて経済的な変化が起こると言うこと説いている一冊である。先の「ジェネレーション」の議論、いわゆる「世代論」は往々にして「若者論」に偏りがちになっていくが、本書では「世代交代」にフォーカスを当てて経済の循環と変化について取り上げている。 本書では […]

カタルーニャを知る事典

スペインには色々な地域が存在するのだが、中でも有名なところでカタルーニャ(カタロニア)地方がある。元々カタルーニャという言葉が使われ始めたのは12世紀の頃であり、その前からも君主国として独立し、一大帝国に発展した経緯が存在する。 中世の栄光から没落し、復興の兆しのある中で、2012年辺りからカタルーニャの独立運動の気運が高まりだしており、「人間の鎖」などのデモも起こっている。 本書はスペインの中で […]

やり直し教養講座 高校数学、居酒屋で教えるとこうなります

「高校数学」は高校だけで学び、結局の所社会の役に立たない、と思っている方も多いことだろう。実際に私も分野によって異なるが役に立たない事だと思っていた。しかし最近では統計学が見直され、さらに確率なども認知されるようになり、高校数学が社会に役立てられるという認知もされ始めてきた。本書は数学者がわかりやすく高校数学を教えるという一冊であるが、「居酒屋で教える」と言うところがミソである。ちなみに本書は新書 […]

いつか、この世界で起こっていたこと

昨日と同じく短編集を取り上げるが、本書は東日本大震災の悲しみを実在では無く、むしろ風刺を込めた物語として作られた作品である。もっとも印象づけられているのが 最初の所である「うらん亭」というもの。これは福島第一原発事故のことを描いている。他にも「波」は三陸などを襲った大津波のことを表し、「無く男」は放射能汚染や風評被害にまつわることをあぶり出し、「チェーホフの学校」は、今から28年前に起こった「チェ […]

ショートカット

本書は短編集で表題の「ショートカット」を始め、「やさしさ」「パーティー」「ポラロイド」の4編から成り立っている。一つ一つの作品に暖かみを持っており、それでいながらも人間くさく描かれている。それでいながら表題である「ショートカット」の名前の如くそれぞれの「心の距離」を描きつつも、ショートカットして、近づけさせるように作られている所もなかなか面白い。 人間くさいながらもせつなく、暖かみのある作品である […]