セレブの現代史

「セレブ」というと華やかなイメージを持たれるが、実際に「セレブ」とはいったいどのような存在なのだろうか。辞書を引いてみると、

「(セレブリティー(celebrity)の略) 名士。有名人。」「大辞林 第三版」より)

とある。いわゆる「有名人」と言えるような存在であるのだが、本当のところセレブはどのような歴史をたどり、どのような分野で活躍したのか、本書はそのことについて取り上げている。

第一章「セレブの誕生」
「セレブ」とはいつ頃に誕生したのだろうか。本章ではアメリカにおける映画スターが生まれた戦前から取り上げられている。そして「セレブ」という言葉も、その言葉のもととなる「セレブリティ」が出てきた戦後間もない時のメディアとともに取り上げている。そのことから「セレブ」は映画にしてもテレビにしても「メディア」によってつくられたと言える。

第二章「映画スターのセレブ」
第一章で「セレブ」の源に映画スターの存在を取り上げたのだが、その映画スターがセレブをつくり出したのか、本章ではセダ・ハラやエルヴィス・プレスリーを引き合いに出し、取り上げている。

第三章「テレビのセレブ」
やがてセレブの世界は映画からテレビに進出していった。その代表格としてバーバラ・ウォルターズという人物である。彼女はもともとニュースキャスターであり、レポーターやインタビュアーも務めた。その彼女がテレビ雑誌「TVガイド」のグラビア表紙になっただけではなく、コマーシャルキャラクターにも出るなど活躍を遂げた。そのバーバラ・ウォルターズの活躍ともにテレビがいかにして「セレブ」を作り上げたのかについて取り上げている。

第四章「ポップスのセレブ」
第二章にて、既にエルヴィス・プレスリーを取り上げたのだが、もともとはポップスにてヒットを遂げた人物である。そのプレスリーが50年代後半に兵役につかなければならなくなってから、ポップスにおけるセレブが誕生し始めた。その誕生したセレブとしてデイヴィッド・ボウイやマイケル・ジャクソンなどを挙げている。

第五章「アートとセレブ」
本章では画家におけるセレブを紹介しているが、世界的な画家というよりは、いわゆる「ビジネス・アート」と呼ばれる絵の作成・販売を生業としている方々のことを表している。

第六章「ファッションとセレブ」
セレブには服装にこだわる、あるいは特定のブランドばかり着る人も少なくない。ファッションとはちょっと違うのだが、女優のマリリン・モンローは「(「夜は何を着て寝るのか」という記者の質問に対し)シャネルの5番よ」というのが有名な言葉としてある。そのセレブとファッションの関係、そしてファッションを生み出すデザイナーとセレブの概念とはいったい何なのかについて本章では取り上げている。

第七章「女性とティーンズ」
セレブというと男性にばかりフォーカスを当てていたのだが、本章では女性や子供(ティーンズ)に対してどのような影響を受けたのかについて取り上げている。

第八章「政治とセレブ」
セレブの存在は政治とは切っても切れない関係にまでなった。例えば世襲(レガシー)の議員や大統領も出てきているところから始まり、大統領選でも映画スターなどセレブの影響力があるということも本章では取り上げている。

第九章「セレブ・テン・ギャラリー」
本章では今まで取り上げられた「セレブ」の中で著者が選りすぐったセレブを10人取り上げている。もちろん中にはマイケル・ジャクソンやミック・ジャガー、デイヴィッド・ベッカムなど有名人も数多く存在する。

「セレブ」という存在はメディアにてつくられたと言っても過言ではない。では誰によってつくられたのかというと、メディアというほかない。「セレブ」は今もなお、メディアの道化として愛し、愛され、非難を受ける存在である。それは今も昔も変わりはない。

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