民主党のアメリカ 共和党のアメリカ

アメリカの政治は民主党と共和党の「二大政党制」となっており、8年単位で政権交代が起こるケースが多い(場合によっては同じ政権が10年20年続くケースもある)。しかしそのアメリカの政党政治は「民主党はリベラル」「共和党は保守」とはっきりしているのだが、はたしてそれは本当なのだろうか、またアメリカの二大政党制にはらんでいる問題点はいったい何なのか、本書はメディアでは知られていないアメリカ政党政治の裏側についてピックアップしている。

第一章「民主党と共和党はどこが違うのか?」
民主党と共和党の「対立軸」は最初にも書いたとおり「リベラル 対 保守」とあるのだが、各論で言うと、非常に細々としたものがある。本章では、バラク・オバマが初当選した2008年のアメリカ大統領選挙をもとにどこに対立軸があるのかについて取り上げている。

第二章「社会価値観をめぐるイデオロギーの激突」
民主党と共和党との対立軸は政治思想のみではなく、その政治思想の根源となる「社会価値観」について本章にて取り上げられている。どのようなものがあるのかと言うと、「自己肯定」「猜疑心」などがある。

第三章「民主党のカルチャー、共和党のカルチャー」
アメリカにはハリウッドを中心とした映画文化が根付いている。もちろん他にも演劇ではブロードウェイも有名であるが、本章にてフォーカスしているのは主に「ハリウッド」の人々である。そのハリウッドの人々の中には民主党系の人もいれば共和党系の人もいる。その方々の思想には何があるのかを本章にて取り上げられている。

第四章「建国以来変わり続けた対立軸」
民主党と共和党の対立軸は現在あるものだが、これはアメリカ建国の時からあったのかというとそうではない。独立当初では「独立か否か」というのがあれば、合衆国憲法制定の可否による対立があった。現在のように共和党・民主党のような対立ができたのは南北戦争の時からである。

第五章「民主党の政策、共和党の政策」
政策面で民主党と共和党とで大きく異なる。簡単に言えば民主党は「大きな政府」、共和党は「小さな政府」を目指しているところにある。また経済政策も新自由主義を目指す共和党と、公共投資を積極的に行うなど介入をする民主党とで違いがある。

第六章「対立軸はどこへ向かうか」
対立軸は大きくは変わっていないものの、細かな政策は国内・国際情勢の変化によっては変わってきている。その変化がはっきりと見えてくるのは4年に1度の大統領選挙はもちろんのこと、上院・下院議員選挙にも表われる。

第七章「民主・共和両党と日米関係」
日米関係はどちらかが政権を取るかによって大きく変わってくる。共和党の場合は蜜月関係に発展するケースも多い一方で、民主党の場合はジャパンパッシングが起こし対立関係になるケースが多かった。

民主党と共和党の対立はアメリカ本国に限らず、日本など諸外国との関係にも大きく関係してくる。国際関係を見る際にアメリカの変化はどうしても看過できない。その看過できない変化の中には、アメリカにおける二大政党制の対立の変化がある。そのいままでの「対立の変化」を知る際に本書はもってこいの一冊である。