「サボる」というと人間特有のイメージがあるのだが、本書でいうと海の生物にも「サボる」ことが得意な動物がいるのだという。動物には色々な種類がおり、なおかついまだに解明されていない存在もいる。特に本書で取り上げるような深海生物は、いまだに発見すらできていない動物もおり、地球の神秘はまだまだあるともいえる。
本書はその海の中にいる動物たちの中で「サボり上手」な動物を紹介している。
1.「実は見えない海の中」
有名な海の生き物でも生態によってはまだ、わからないところがある。その「わからないところ」の多くが「海の中」での生態にある。本章ではペンギンやアザラシといった有名な生物が海の中に潜ったとき、どのような生態なのかを取り上げている。
2.「他者に依存する海鳥―動物カメラで調べる」
海に潜る動物は何もペンギンやラッコだけではない。「海鳥」と呼ばれているような鳥もまた空を飛びつつ、時折海に潜りこむ。その理由としては餌をとるためだという。
しかしその海鳥はどのようにして海に潜り、どれくらい潜り続けるのだろうか。本章では、それを検証するために「動物カメラ」を紹介しつつ、それを使って調査する意義について説明している。
3.「盗み聞きするイルカ―音で調べる」
動物がその情報を発信・検知する際にあるのが「鳴き声」である。その鳴き声は人間にはわからず、同じ生物でしか交わすことのできない、声、声色、さらには声の周波数といったものがある。そういったものは前章で紹介したカメラではとらえることができない。ではどのようにして調べたのか、スペクトログラムといったものを使っているという。ほかにも音によってわかるもの、そしてほかの生物がどのようにして盗み聞きし、情報を得ているかについてもここで詳しく紹介されている。
4.「らせん状に沈むアザラシ―加速度で調べる」
海の中での行動についてもまた謎に包まれている生物も多い。本章ではアザラシやペンギンを中心に「加速度」を用いた調査で、どれくらいの速さで、なおかつどういった方向にて移動しているのかといったものが中心である。
5.「野生動物はサボりの達人だった!」
海の生物の動向について色々と取り上げてきたのだが、本書の核心である「サボり」がうまい理由について明かされていなかったが、本章で初めてそのことが明らかになる。生物がいかにしてサボるのか、本章ではペンギンなどの生物がどのようにサボっていくのかを取り上げている。
5.の動向を見ると、生きるためにどのようにサボればよいのかを動物は心得ており、人間以上に理解しているというか、会得しているように思えてならない。
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