現代思想の断層―「神なき時代」の模索

今から6年ほど前に「ニーチェの言葉」がベストセラーになったのだが、そのニーチェの言葉の中に「神は死んだ」という言葉がある。元々の西欧思想はキリスト・ユダヤの両宗教の基層としてあったのだが、このニーチェの一言で崩れ去ったと同時に現代における思想の根本が出来上がったと言っても過言ではない。その現代思想はどのようにして形成されていったのか、本書はマックス・ウェーバーをはじめとした哲学者・心理学者の思想を中心に取り上げている。

第1章「マックス・ウェーバーと「価値の多神教」」
現代における政治思想の根本の一つをつくり上げた人物としてマックス・ウェーバーがいる。ウェーバーの思想が醸成されていったベースとしてアメリカの旅がある。そのアメリカの旅のエピソードを中心に取り上げているのが本章である。

第2章「フロイトと「偶像禁止」」
夢理論の基礎を気づいた心理学者としてあるのがフロイトである。そのフロイトは「偶像禁止」と呼ばれる考え方を生み出したのだが、その生み出した中でユダヤ教徒の関係との関連性があると著者は本章に手指摘している。

第3章「ベンヤミンと「歴史の天使」」
文芸批評をはじめとした文筆活動で知られていたベンヤミンは「天使」を基軸にした神学の思想の概念をつくり上げてきた。本章はその思想の根源を取り上げている。

第4章「アドルノと「故郷」の問題―ハイデガーとの対決」
現代哲学における代表的な人物としてハイデガーがいるのだが、そのハイデガーと真正面から論戦を張った人物がいる。その人物がアドルノである。アドルノはなぜハイデガーと論戦をすることになったのか、その理由の一つとして「故郷」がある。

現代思想は思想家それぞれの人生の中で醸成されていったと言っても過言ではない。その醸成されていった中でどのような旅・論戦を通じて作られていったのか、それを通じてこれからの思想を模索しているのが本書である。