悪の出世学 ヒトラー・スターリン・毛沢東

「悪」と呼ばれる人物がいる。その人物は第二次世界大戦前後に活躍した独裁者の3人であり、数多くの民を虐殺した人物の3人である。その3人はそれぞれの道を歩み、独裁者への道をたどっていった。そのプロセスとは一体どのようなものか、本章では「立身」「栄達」など3つのポイントに分かれて取り上げている。

第一部「立身」
ちなみに言っておくがここでは毛沢東は出てこず、ヒトラーとスターリンの2人を取り上げている。両者が出生し、どのようなキャリアを歩んでいったかを取り上げているが、両者は正反対の人生を歩んでいった。スターリンはどちらかといえば優秀な人生を送りながらも革命家の道をたどり、ヒトラーは屈折した人生を歩みながらクーデターに走ることがあった。

第二部「栄達」
スターリンはレーニンとともに革命に成功し、なおかつレーニンの補佐として歩んでいった。レーニンの死後、トロツキーとの権力闘争の末、独裁者の道へと歩んでいった。一方のヒトラーは大恐慌の中で選挙を繰り返し、勢力を伸ばしていった。ヒトラーは首相・大統領を兼務し、「総統」となり、独裁者の道を歩んでいったが、選挙によって選ばれることによって成っていった。そして毛沢東は農村から生まれ、中国共産党を結党し、草の根からクーデターなどの運動を続けながら勢力を拡大していった。

第三部「野望の果て」
3人の独裁者は多くの民を殺した共通点がある。ヒトラーは選民思想で、スターリンは大粛清で、毛沢東は文化大革命で多くの民を殺してきた。それを乗り越えて野望をなしてきたのだが、いずれも「道半ば」でこの世を去った。

悪と呼ばれた人物と言ってもそれぞれの道を歩んでいた。本書はその轍が記されているのだが、それぞれの人生を取り上げているだけなのかもしれない。