居酒屋の戦後史

居酒屋と言うともはや酒好きの方々にとっては憩いの場でもあるのだが、近年は「飲み放題」というのが主流であり数時間の間で酒を飲みながら料理に舌鼓を打つといったことができる。しかし最近では酒規制が世界的に起こっており、飲み放題の文化も脅かそうとしている。

そこで少し考えておきたいのが、元々居酒屋はどのような歴史をたどっていったのか、そのことについて考えておく必要がある。日本に居酒屋の文化を根付いたのはいつ頃なのか、そして戦後はどのような変化を見せたのかそのことを取り上げたのが本書である。

第1章「ヤミ市から生まれた戦後居酒屋」
戦後間もない時には「ヤミ市」と呼ばれるものができたのだが、そこでも酒ややきとりなどが出てきて、すさんだ世の中のオアシスとなった。そのオアシスは映画にもなり、なおかつ今の居酒屋文化の基礎を築き上げた。

第2章「文士と酒の戦中・戦後」
とはいえ、居酒屋文化は戦後から始まったわけでない。戦前からも存在しており、三代目三遊亭金馬の得意演目にも「居酒屋」が存在している。もっとも史実かどうかは不明であるものの、ドラマ「鬼平犯科帳」にも居酒屋の舞台がある。そのことから時代は不明であるが、昔から居酒屋の文化があったとも言える。

その中で戦前・戦後の文士たちはどのようにして居酒屋と付き合ったのかを紹介している。

第3章「戦後復興と酒」
今ではポピュラーな酒である「酎ハイ」だが、誕生したのは戦後間もない時だったという。もっとも「戦後復興」の象徴の一つであるという。ほかの象徴としての酒は「ビール」であり、酎ハイとともに居酒屋の代表格の一つとして挙げられることとなった。

第4章「高度成長期の酒」
今でこそハイボールはブームを経てメジャーなものになっていったのだが、高度経済成長期前にできたが、やがて「ウイスキーの水割り」が広がりを見せ、そのことによってハイボールが陰に隠れるようになっていった。もっとも水割りはもちろんのことウイスキーや焼酎のストレート・ロックなども出てくるようになり、銘柄なども多数出てくるようになり、比較するようになっていった。また居酒屋のチェーン店ができ始めたのも高度経済成長期である。

第5章「地酒ブームと名酒居酒屋の発展」
日本酒は全国各地で生産され地元に特化した「地酒」ができるようになった。もっとも日本酒に限らず焼酎もまた地方の銘柄もあり、それが名酒居酒屋として成り立つようになっていった。

第6章「格差拡大と「酒格差社会」」
しかし酒にも「格差」が生まれ、それが地域格差として居酒屋の文化にも影を落とすこととなった。もっともその「格差」が「ビール」の消費の中でも「発泡酒」や「第三のビール」といったものが出てくるようになった要因とも言える。

居酒屋文化は今も昔も日本に根付いている。その根付いている中でどのような居酒屋の未来があるのか、酒規制のある国際情勢も含めてみていくほかない。

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