なぜ蚊は人を襲うのか

もう季節はずれとなってしまっているのだが、夏になると蚊がうじゃうじゃ出てくるシーズンであり、なおかつ刺されないようにするのにも一苦労である。しかもその蚊は疫病を運ぶものとして世界中からも忌み嫌われている。

最近のニュースではアメリカが「蚊で蚊を駆除」をする研究が行われたという話があった(朝日新聞「「蚊で蚊を駆除」米で承認 子孫残させず群れの数減らす」より)。その蚊はなぜ人を襲い、病気を運ぶのか、その生態を追っている。

1.「その蚊、危険につき」
蚊は小さい虫でありながらも、危険な生き物である5.のタイトルにも意味しているのだが、フィラリアや黄熱病、デング熱など様々なウイルスを媒介し、血を吸うと共に人に対して感染させる原因にもなる。もっとも世界単位で広がるような伝染病の病原が蚊であるケースが多かったこともある。

2.「蚊なりのイキカタ」
もちろん蚊もまた好きで病原菌をまとっているワケではない。生き残るためにそれをまとっているのであり、なぜ蚊が生まれたのかについても取り上げている。

3.「標的を発見!」
蚊を標的としているのはほとんどが人間である。その人間を標的とする際に蚊はどのように捉え、襲うのか、その傾向を分析している。

4.「蚊が血を吸うわけ」
なぜ血を吸うのかというとその血の中にあるタンパク質を栄養源としている。しかも蚊は全部血を吸うわけではなく、メスが主だって血を吸うのである。オスはというと血は吸わず、蜜や果汁を吸うことでエサとするという。

5.「病気の運び屋として」
1.にも書いたとおり病気の運び屋としての役割を持っている。もっとも媒介とする病気の中で最も多いのが蚊であるのだが、そもそも蚊自体が病原菌を産ませるわけではなく、人以外の動物から血を吸うことがある。その血の中に病原菌があり、取り入れることによって唾液にも含まれるようになる。そのために血を吸うと共に血管の中にに唾液を注入することで伝染病を発生させるという仕組みである。そのため蚊は「病気の運び屋」と呼ばれている所以である。

6.「蚊との戦いか、共存か」
蚊は世界中で最も嫌われる害虫として扱われる。今年の7月頃から話題となった「ヒアリ(火蟻)」よりも忌み嫌われているほどである。そのため冒頭にあるようにアメリカでも蚊を駆除するための研究が行われているのだが、その一方で共存をする議論が行われているという。

蚊は最も危険な害虫であり、蚊よけもありながらも蚊を駆除すると言うような話もある。蚊は本当に害虫なのか、そしてどのように関わっていくのか、それを考えるきっかけとなる一冊である。