僕たちは知恵を身につけるべきだと思う

「もっと知恵を使って!」
本書と出会った時に、高校時代に上記の言葉を思い出した。最も「知恵」とはどうやって出るのだろうか、そうやって身につけるのだろうか、正直言って分からなかった事を今でも覚えている。ようやく社会の事について少しだけど理解し始めた今でも、相も変わらず、高校生のような状況であるのだが、このような時代の中で「知恵」は重宝されるという。

では「知恵」とはなんなのか。辞書で調べてみると、

1.物事の理を悟り、適切に処理する能力。
2.真理を明らかにし、悟りを開く働き。宗教的叡知。六波羅蜜の第6。また、「慈悲」と対にして用いる。
3.四つの枢要徳の一つ。古代ギリシア以来さまざまな意味を与えられているが、今日では一般に、人生の指針となるような、人格と深く結びついている哲学的知識をいう。「広辞苑 第六版」より)

とある。特に1.の意味が本書に当たる。もちろん知識や知能は必要なのだが、それ以上にそれらを使ってどのように適切に処理し、物事を判断し、決断をしていくのかが問われる世の中だからでこそ「知恵」が必要になってくるというのである。ではどのように身につけるのか、本書はそのことについても伝授している。

第1章「合理性と義理人情」
会社などの組織では合理的・効率的なものが求められる一方で人と人との折衝により物事をすすめていく必要がある。そのため論理といった事も必要になってくるのだが、人間味のある「義理人情」が必要になってくる。

第2章「才能を捨てよ」
人は誰しも「才能」を持っている。その才能を生かすも殺すもその人次第であるのだが、組織の中ではそれは「無駄」と言うことに他なら無い。もっと言うとそれこそ組織にとっての「脅威」に鳴りかねないという。そのため「才能」そのものは殺す、捨てることにし、渡り歩くための知恵を持つことが重要であるという。

第3章「人気者になる」
知恵を持つことは物事を処理していく力であるのだが、単純に計算して得られるものではない。第1章でも述べたように義理人情を持つ必要もあり、なおかつ人間くさく前へ出る、本章で言う「人気者になる」こともまた一つの手段である。

第4章「アイデアを実現する」
「クリエイティブ」と言う言葉は響きが良いのだが、アイデアをいかにして現実にもっていくか、そもそも「クリエイティブ」が現実に直結していることを前提に、人をどのようにして納得させるかにかかっている。

第5章「うまく立ち回る」
組織には「立ち回り」がどうしても必要になってくる。その立ち回りは組織における「根回し」もあるのだが、時と場合がある。

第6章「最適な行動を選ぶ」
いかにして「最適」な行動をしていくのか、それについても「知恵」を働かせる重要な要素の一つである。置かれている状況を把握し、そしてゴールを把握し、そこから最短ルートを割り出す、それは初めて行く場所での移動と同じように組織での行動もまた同じことである。

第7章「人の上に立つ」
いわゆるリーダーの在り方である。リーダーというと言わずもがな人の上に立つ立場であるのだが、その立場をどのように利用するかで知恵のある・ないが決まってくる。もちろん知恵のある人は部下に対してのモチベーションを高めさせるかにかかっていると言っても過言ではない。

第8章「文明開化する」
簡単に言えば組織の中、会社の中、日本の中に閉じこもるのでは無く、枠を取り払って、様々な環境で戦うことが大切になると言うことを説いている。そのためには英語力が必要なのでは、と思いがちなのだが、それこそ知恵や度胸と言った人間くさい部分や多様性が必要である。

第9章「安定からの決別」
もはや安定な職場は皆無に等しい。にもかかわらず安定を求めるのが日本人の性と言っても過言ではない。なのでいかに安定を捨て去る勇気を持つことができるか、そして不安定な中でどのように生き残るのかその術を自ら身につけることも大切である。

本書を見ていくと知恵はなまじ机上では学んでも実際に身につけることはできない。もっと言うと組織の中で泥臭く実践を続けて行く必要がある。それは一朝一夕ではなく、何ヶ月・何年と長い時間をかけて身につけていくことによって不安定な社会を渡り歩く力を身につけていく、世界で活躍する、もとい淘汰されず生き残って行くには「知恵」を体にしみこませる事が大切であるという。

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