幸せになるヒント―私が出会った観音様たち

2019年9月に「みとりし」という映画が公開された。この映画は「看取り士」と呼ばれる、介護をしながら最期を看取る方のことを取り上げている映画である。その映画の製作にあたった人物が著者であるのだが、その著者もまた看取り士である。看取り士としての仕事、そして看取り士がいることの重要性、そして看取り士と周囲の方々とのエピソードを余すところなく綴っている。

1.「あなたが今そこにいることが大切です」
看取り士としての1日のなかで高齢者(本書では『幸齢者」と定義している』)との関わりについて取り上げている。どのような境遇にあっても「今、そこにいる」ありがたみが伝わるエピソードばかりである。

2.「全てありのままで」
ありのままで生きることは重要なことかもしれないのだが、実際にそれを行うにも難しい部分がある。周囲のこと、世間体のことなど色々と考えてしまうためである。しかしながらそれは気にすることなく、「ありのまま」生きることを説いている。

3.「小さなことに真心を」
「尊厳死」という言葉がある、医学的にも「インフォームドコンセント」の一つとして扱われることが多い。しかし「尊厳死」とひとえに言っても、どのようなことがあたるのかはわからない。しかし著者は「小さな真心の積み重ね」こそが尊厳死をなすための一里塚としている。

4.「小さな幸せを数えて」
「幸せ」は多かれ少なかれ存在する。その幸せをいかにして積み重ねる、あるいは数えていくことによって、自分自身の幸せを見出すことができるようになるという。

5.「「ありがとう」の言葉にリボンをかけて」
「ありがとう」は魔法の言葉である。色々な場で使ったり、使われたりすると、自分自身にとっても、相手にとっても良い影響を及ぼす。さらに良い感情を持たせるために著者は「リボンをかける」としている。それはどのような「リボン」なのかを取り上げている。

6.「人は身体と魂そして良い心を持って生まれます」
人間には「心」が存在する。その心をどのようにしていくかは、その人の考え方や行動などありとあらゆる面で左右される。左右されるなかで本当は「良い心を持っている」ことを忘れてはいけないことを本章にて説いている。

7.「それはたいしたことではありません」
私もそうであるのだが、小さいことでくよくよすることがある。周囲からしたら「たいしたことではない」と思われていても、自分自身に摂ってみれば大事そのものと捉えてしまうためである。しかしどんな大事であっても周囲から見たら「たいしたことではない」とあるため、自分自身もそれを意識することが求められる。

8.「自分を愛している人が他人を愛することができます」
「愛」と言う言葉は尊い。しかしその愛は他人に対するものばかりでなく、自分自身にも向けられる。特に自分自身への愛を持つことによって、他人に対しての愛を芽生え、出る水の如く溢れるほどにまでなるという。

9.「旅立つ人はみんな神様」
この世に生まれ、そしてやがて旅立つ。その旅立ちによって神様になると言う。神様になるために看取っていく、その姿が映し出されているようでいてならなかった。

10.「やさしく やさしく やさしく ありがとう」
旅立つ人を送る際に、残された人々は悲しみに暮れる。しかしその旅立ちを見送るために「ありがとう」と送り出すという。

人は誰しも死ぬ。避けられない死にたいしてどのような最期を迎えるか、そしてどのように生きるか、そして人生にとっての「幸せ」とは何か、生きることの全てを問われたような気がしてならなかった。

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