「なんとかする」子どもの貧困

「貧困」と言うとネガティブなイメージがつきまとう一方で、社会人などの大人が背負うモノというイメージを持ってしまう。しかしながら今ある貧困のなかで最も根深いものとしては「子どもの貧困」が挙げられるという。その子どもの貧困はドキュメンタリーでも取り上げられるほどなのだが、なぜ「子どもの貧困」が生まれ、どのような悪影響をもたらすのか、本書はそのことについて取り上げている。

第一章「子どもから社会を見直すー貧困とは何か?」
子どもの貧困としても種類がある。それは「体験」や「意識」と言ったものなどの貧困があるのだが、特に後者については深刻である。もっとも失われた10年ないし20年のなかでの希望が失われ、金銭といったものよりも、将来への展望が暗くなってしまったことにより希望を見出せない、あるいは自分自身の居場所を失ってしまうこともあるという。

第二章「あきらめない人たちー「こども食堂」と「無料塾」」
その子どもたちに勉強をはじめ、生きるための希望を見出すための試みが行われている。その中でも「こども食堂」や「無料塾」を本章にて取り上げているが、その中でも「こども食堂」は全国的にも開設されており、子どもたちの共生やケアなどを主に行っている。また無料塾については学習の機会を広げることもまた貧困対策としてある。

第三章「できることを、できることからー動き出す自治体・企業」
子どもの貧困の対策としてはNPOやNGOなどで行われている一方で、自治体や企業などの団体でも対策のために動き出している。どのような対策を行っているのか、団体によって異なるのだが、そのケースなども併せて取り上げている。

第四章「社会をつくり直すー貧困の連鎖を断ち切るために」
社会をつくり直すと言うことは生半可な話ではない。貧困の要因として社会構造も要因としてある。その構造が貧困の連鎖を生み出すのだというのだが、ではどのようにして変えていく、あるいはつくり直すべきか、そのことについて提言を行っている。

子どもの貧困は冒頭でも述べたようにドキュメンタリーになるほどにまで認知されるほどである。しかしその根本的な対策はなかなか見出せていないと言っても過言ではない。しかし団体によってはそれを軽減するための動きを見せていることは確かであり、その証拠が本書にある。