1910年の朝鮮併合から、1945年の大東亜戦争終焉まで日本の植民地となった朝鮮半島。その朝鮮半島では創氏改名をはじめ、日本の文化に改めたり、弾圧を受けるといった論調が主だったのだが、果たして併合後の朝鮮半島はどうなったのか、併合後の史料を通じて考察を行った書籍はいくつか存在する。ちなみに本書もその一つであるのだが、あくまで「実証主義」として、史料をもとに、なおかつ経済的な観点から論じしているのが本書である。
第1章「日本の統治政策―財政の視点から」
もともと朝鮮併合を行う以前から日本は朝鮮半島に人を派遣し、朝鮮の政府の顧問に就くと言ったことがあった。それは第一次日韓協約をもとにしたものであり、1904年ごろからはじまったとされている。そのときにあった朝鮮半島の財政事情を取り上げている。また朝鮮併合の後何をやったのかというと「治安維持」であった。
第2章「近代産業の発展―非農業への急速な移行」
元々朝鮮半島は古来の政治や経済が中心だったために、近代化について後れをとっていた。朝鮮併合により、農業、および工業の面で、品種改良や生産を増やしていったとされている。もっとも朝鮮半島も経済の面では近代化と発展の一途をたどっていった。
第3章「「貧困化」説の検証」
よくある議論の中で朝鮮併合後は朝鮮人の生活水準は大きく低下し、貧困化した、といわれているのだが、実際に本当なのかという点を生活面のデータなどから考察を行っているのだが、実際には併合前とそれほど変わらないという結果が出ている。
第4章「戦時経済の急展開―日中戦争から帝国崩壊まで」
やがて日本は日中戦争から、第二次世界大戦、そして大東亜戦争へと移っていく。その時代の中で朝鮮半島はどのような経済をたどっていったのか、そこには戦争ならではの財政事情があった。
第5章「北朝鮮・韓国への継承―帝国の遺産」
戦後になって、朝鮮半島は北朝鮮と韓国とで分断され、今もなお続いている。しかも経済的な部分で見てみると北朝鮮と韓国とで併合の時の財産を引き継ぐか、断絶するかで分かれ、それが経済的な側面で色濃く映っているという。
本書はあくまで朝鮮併合を賛成していることも、反対していることもない。あくまでデータを用いて朝鮮併合の後からの経済的なデータを示し、考察を行っているだけである。そのデータをもとに、朝鮮併合は動であったのか、感情抜きにして、さらなる考察が必要ではないかとも考えた。
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